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実際原価の計算手続

製造原価は、原則として実際発生額をまず費目別に計算することが、原価計算基準7で規定されています。

そして、原価の費目別計算については、原価計算基準9で以下のように規定されています。

原価の費目別計算とは、一定期間における原価要素を費目別に分類測定する手続をいい、財務会計における費用計算であると同時に、原価計算における第一次の計算段階である。

製造原価の費目別計算は、財務会計における費用計算ですが、それと同時に原価計算における第一段階の計算手続です。

したがって、費目別計算で製造原価要素を分類する場合には、財務会計目的と原価計算目的の2つの目的を同時に達成するようにしなければなりません。

費目別計算における原価要素の分類

費目別計算において、原価要素は原則として形態別分類を基礎とし、これを直接費と間接費とに大別し、必要に応じて機能別分類を加味することが、原価計算基準10で規定されています。

財務会計において費用は、支払形態別や取引形態別に把握されます。そのため、費目別計算は、財務会計上の費用計算でもあるため、費用の分類は、支払形態別や取引形態別に行われるのが原則です。

原価計算は、財務会計上の費用の発生を基礎として行われるので、製造原価の費目別計算においては財務会計上の費用の分類を基礎として、まず原価要素を形態別に分類しなければなりません。

直接費と間接費に分類

費目別計算は、財務会計上の第一段階の計算手続であるとともに原価計算の第一段階の計算手続でもあります。

そのため、製品との関連において、直接費と間接費に分類することも必要となります。

原価計算基準10では、原価要素を直接費と間接費に分類する場合の具体例を示しています。

直接費

  • 直接材料費
    主要材料費(原料費)、買入部品費
  • 直接労務費
    直接賃金(必要ある場合には作業種類別に細分する。)
  • 直接経費
    外注加工賃

間接費

  • 間接材料費
    補助材料費、工場消耗品費、消耗工具器具備品費
  • 間接労務費
    間接作業賃金、間接工賃金、手待賃金、休業賃金、給料、従業員賞与手当、退職給与引当金繰入額(退職給付費用)、福利費(健康保険料負担金等)
  • 間接経費
    複利施設負担額、厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕料、電力料、ガス代、水道料、租税公課、旅費交通費、通信費、保管料、たな卸減耗費、雑費

個別原価計算と費目別計算

製品との関連において、製造原価要素を直接費と間接費に分類するのは、個別原価計算において原価を集計するために発生した考え方です。

個別原価計算では、製造指図書ごとに直接的、個別的に因果関係を認識できる費用を直接費として製造指図書に賦課します。一方の間接費は、製造指図書ごとに因果関係を直接的、個別的には認識できないけども、製造に必要であることが間接的、共通的に認識される費用であり、何らかの基準に基づいて各製造指図書に配賦されます。

個別原価計算において、正確に製造原価を計算するためには、製造原価要素を直接費と間接費に分類することが絶対的に必要となります。

総合原価計算と費目別計算

総合原価計算では、組別総合原価計算を除いて、製造原価要素を直接費と間接費に分類することは、製造原価計算上は不要です。

しかし、総合原価計算においても、製造原価要素は直接費と間接費に分類されます。その場合、製品の単位数に比例して発生する費用は直接費、製品の単位数に比例しないか比例しても重要性が乏しい費用は間接費に分類されます。

総合原価計算で、製造原価要素を直接費と間接費に分類するのは、製品原価を正確に計算することが目的ではなく、原価管理が主な目的となります。

製品1単位の生産に比例して発生する直接費は、標準材料消費量や標準作業時間などを設定して、実際材料消費量や実際作業時間等と比較して差異分析を行い原価管理に役立たせることが可能です。

一方の間接費は、直接費のように標準を設定するのが困難であるため、予算によって管理することになります。

機能別分類と原価管理

製造原価要素を機能別に分類する目的は、原価管理にあります。

各経営機能において、原価がどれだけ発生したかを明らかにすることは、その原価の責任の所在を明確化することになります。また、原価の発生原因を知る手段としても機能別分類は重要な分類と言えます。