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関連当事者との取引に関する開示

開示対象となる関連当事者との取引がある場合、原則として個々の関連当事者ごとに、以下の項目を開示します(関連当事者の開示に関する会計基準第10項)。


  1. 関連当事者の概要
  2. 会社と関連当事者との関係
  3. 取引の内容
  4. 取引の種類ごとの取引金額
  5. 取引条件および取引条件の決定方針
  6. 取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高
  7. 取引条件の変更があった場合は、その旨、変更内容および当該変更が財務諸表に与えている影響の内容
  8. 関連当事者に対する貸倒懸念債権および破産更生債権等に係る情報(貸倒引当金繰入額、貸倒損失等)

関連当事者の概要

関連当事者の概要には、名称または氏名のほか、以下の内容を記載しなければなりません(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第7項)。


  1. 関連当事者が法人(会社に準ずる事業体などを含む。)の場合には、所在地、資本金(出資金)、事業の内容および当該関連当事者の議決権に対する会社の所有割合または財務諸表作成会社の議決権に対する当該関連当事者の所有割合
  2. 関連当事者が個人の場合には、職業、財務諸表作成会社の議決権に対する当該関連当事者の所有割合

取引の内容

取引の内容については、形式的・名目的には第三者との取引である場合は、形式上の取引先名を記載した上で、実質的には関連当事者との取引である旨を記載します(関連当事者の開示に関する会計基準第10項(3))。

関連当事者に対する貸倒懸念債権および破産更生債権等

関連当事者に対する債権が貸倒懸念債権および破産更生債権等に該当する場合、以下の項目を開示しなければなりません(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第8項)。


  1. 債権の期末残高に対する貸倒引当金残高
  2. 当期の貸倒引当金繰入額等
  3. 当期の貸倒損失額(一般債権に区分されている場合において貸倒損失が生じた場合も含む。)

また、関連当事者に対する債務保証損失引当金の期末残高や繰入額なども開示対象となり、上記の貸倒懸念債権および破産更生債権等の取扱いに準じて開示します(同適用指針第8項また書き)。

なお、連結財務諸表においては、連結子会社に対する債権で相殺消去の対象とされているものに係る貸倒引当金および貸倒損失等は、開示対象外です(同適用指針第8項なお書き)。

関連当事者の種類ごとに合算して記載

関連当事者に対する貸倒懸念債権および破産更生債権等については、関連当事者の開示に関する会計基準第5項(3)に掲げられている以下の関連当事者の種類ごとに合算して記載することができます(同会計基準第10項(8))。


  1. 親会社
  2. 子会社
  3. 財務諸表作成会社と同一の親会社をもつ会社
  4. 財務諸表作成会社が他の会社の関連会社である場合における当該他の会社(その他の関係会社)ならびに当該その他の関係会社の親会社および子会社
  5. 関連会社および当該関連会社の子会社
  6. 財務諸表作成会社の主要株主およびその近親者
  7. 財務諸表作成会社の役員およびその近親者
  8. 親会社の役員およびその近親者
  9. 重要な子会社の役員およびその近親者
  10. 「6」から「9」に掲げる者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社およびその子会社
  11. 従業員のための企業年金(企業年金と会社の間で掛金の拠出以外の重要な取引を行う場合に限る。)

資金貸借取引、債務保証等および担保提供または受入れ

資金貸借取引、債務保証等および担保提供または受入れについて開示する場合には、以下の内容を記載します(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第9項)。

資金貸借取引

資金の貸付取引または借入取引がある場合、連結会計年度中または事業年度中の貸付金額または借入金額を取引金額として記載するとともに、当該取引に関する期末残高を記載します(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第9項(1))。

債務保証等

保証債務等(被保証債務等)の期末残高を取引金額として記載します。また、保証等をしているのか、保証等を受けているのかの別がわかるよう、その内容を注記において具体的に記載します(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第9項(2))。

担保提供または受入れ

担保資産に対応する債務の期末残高を取引金額として記載します。また、担保を提供しているのか、担保を受け入れているのかの別がわかるよう、その内容を注記において具体的に記載します(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第9項(3))。