自社利用のソフトウェアの償却費の計算
ここでは、自社利用のソフトウェアの償却費の計算について具体例を用いて解説します。
前提条件
- 甲社(3月決算会社)は、x1年4月1日にソフトウェアを50,000千円で取得しました。当該ソフトウェアは、収益獲得または費用削減が確実であるため、取得に要した費用を無形固定資産に計上しました。
- ソフトウェアの見込利用可能期間は5年です。
- 償却方法は、定額法を採用します。
- x3年3月末に利用可能期間の見直しを行ったところ、x3年4月以降の残存利用可能期間が2年であることが明らかになりました。
- 過去に定めた耐用年数は、その時点での合理的な見積りに基づくものとします。
各期の償却費の計算
x2年3月期(1年目)
ソフトウェアを4月から1年間利用しています。
したがって、取得原価50,000千円、耐用年数5年、当年度の期間1年を基に定額法で償却します。
- x2年3月期の償却費
=取得原価×当年度の期間/耐用年数
=50,000千円×1年/5年
=10,000千円
よって、x2年3月期のソフトウェアの償却費は10,000千円になります。
x3年3月期(2年目)
x2年3月末までにソフトウェアを1年間利用しているので、x3年3月期の期首の残存耐用年数は4年になります。
また、ソフトウェアの未償却残高は、取得原価50,000千円からx2年3月期の償却費10,000千円を差し引いた40,000千円になります。
- x3年3月期期首の未償却残高
=50,000千円-10,000千円
=40,000千円
したがって、未償却残高40,000千円、残存耐用年数4年、当年度の期間1年を基に定額法で償却します。
- x3年3月期の償却費
=未償却残高×当年度の期間/残存耐用年数
=40,000千円×1年/4年
=10,000千円
よって、x3年3月期のソフトウェアの償却費は10,000千円になります。
x4年3月期(3年目)
x3年3月末に残存利用可能期間が2年であることが明らかになりました。過去に定めた耐用年数はその時点で合理的な見積りに基づくものであったので、過年度の財務諸表の修正再表示は行わず、x4年3月期以降は、変更後の残存耐用年数で償却します。
ソフトウェアの未償却残高は、取得原価50,000千円からx3年3月期までの償却費20,000千円を差し引いた30,000千円になります。
- x4年3月期期首の未償却残高
=50,000千円-(10,000千円+10,000千円)
=30,000千円
したがって、未償却残高30,000千円、残存耐用年数2年、当年度の期間1年を基に定額法で償却します。
- x4年3月期の償却費
=未償却残高×当年度の期間/残存耐用年数
=30,000千円×1年/2年
=15,000千円
よって、x4年3月期のソフトウェアの償却費は15,000千円になります。
x5年3月期(4年目)
ソフトウェアの未償却残高は、取得原価50,000千円からx4年3月期までの償却費35,000千円を差し引いた15,000千円になります。
- x5年3月期期首の未償却残高
=50,000千円-(10,000千円+10,000千円+15,000千円)
=15,000千円
したがって、未償却残高15,000千円、残存耐用年数1年、当年度の期間1年を基に定額法で償却します。
- x5年3月期の償却費
=未償却残高×当年度の期間/残存耐用年数
=15,000千円×1年/1年
=15,000千円
よって、x5年3月期のソフトウェアの償却費は15,000千円になります。
以上の自社利用のソフトウェアの償却費の計算を表にすると以下のようになります。