直接法と間接法
キャッシュ・フロー計算書の作成方法には、直接法と間接法があります。どちらの作成方法でも、投資活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローの内容は同じとなります。両者で違いがあるのは、営業活動によるキャッシュ・フローの表示です。ただし、どちらの方法を採用したとしても、計算結果は同じとなります。
直接法と間接法の違い
「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針 Ⅰ 12」では、直接法と間接法について以下のように記述されています。
直接法とは、営業収入、原材料又は商品の仕入れによる支出等、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示する方法をいう。
間接法とは、税金等調整前当期純利益に、非資金損益項目、営業活動に係る資産及び負債の増減並びに「投資活動によるキャッシュ・フロー」及び「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に含まれるキャッシュ・フローに関連して発生した損益項目を加減算して「営業活動によるキャッシュ・フロー」を表示する方法をいう。
直接法は営業活動によるキャッシュ・フローを主要な取引ごとに収入総額と支出総額を表示するのに対して、間接法は税金等調整前当期純利益に必要な調整を行って営業活動によるキャッシュ・フローを表示するという点で異なっています。そのような作成の特徴から両者にはそれぞれ利点と欠点があります。
直接法の利点と欠点
直接法は、キャッシュ・フローが総額表示されるので、取引規模を把握しやすいという利点があります。しかし、主要な取引ごとにキャッシュ・フローの基礎情報を用意する必要があるので、実務的に煩雑といった欠点があります。
間接法の利点と欠点
間接法は、税引前当期純利益から営業活動によるキャッシュ・フローを計算表示するので、利益とキャッシュ・フローの関係を把握しやすいといった利点があります。また、作成が直接法よりも容易といった利点もあります。しかし、キャッシュ・フローが純額で表示されるので、取引規模を把握しにくいといった欠点があります。