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法人税、住民税及び事業税等の開示

法人税、住民税及び事業税等は、その性質に応じて、財務諸表に表示します。

当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等

以下の損益に計上する法人税、地方法人税、住民税および事業税(所得割)は、損益計算書税引前当期純利益(または損失)の次に、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目をもって表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第9項)。


  1. 当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等
  2. 貸借対照表の純資産の部に計上すべき法人税、住民税及び事業税等の金額に重要性が乏しいもの
  3. 課税の対象となった取引等が、損益と純資産に関連しており、かつ、法人税、住民税及び事業税等の金額を算定することが困難なもの
  4. 過年度に計上された資産または負債の評価替えにより生じた評価差額等に係る税額のうち、当事業年度の損益に計上した評価差額等に対応するもの

事業税の付加価値割および資本割

事業税の付加価値割および資本割は、原則として、損益計算書の販売費及び一般管理費として表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第10項)。

ただし、合理的な配分方法に基づきその一部を売上原価として表示 することもできます(同会計基準第10項ただし書き)。

未払法人税等

法人税、住民税及び事業税等のうち納付されていない税額は、貸借対照表の流動負債の区分に、未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第11項)。

未収還付法人税等

法人税、住民税及び事業税等の税額が、中間申告により納付された税額を下回る場合等により還付されるとき、当該還付税額のうち受領されていない税額は、貸借対照表の流動資産の区分に、未収還付法人税等などその内容を示す科目をもって表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第12項)。

受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税

受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税のうち法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額は、損益計算書の営業外費用として表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第13項)。

ただし、当該金額の重要性が乏しい場合には、法人税、地方法人税、住民税および事業税(所得割)に含めて表示することができます(同会計基準第13項ただし書き)。

外国法人税

外国法人税のうち法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額は、その内容に応じて適切な科目に表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第14項)。

なお、外国子会社(法人税法第23条の2)からの受取配当金等に課される外国源泉所得税のうち法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額は、法人税、地方法人税、住民税および事業税(所得割)に含めて表示します(同会計基準第14項なお書き)。

更正等による追徴及び還付

法人税、地方法人税、住民税および事業税(所得割)

過年度の所得等に対する法人税、地方法人税、住民税および事業税 (所得割)のうち損益に計上するものの更正等による追徴税額および還付税額は、法人税、地方法人税、住民税および事業税(所得割)を表示した科目の次に、その内容を示す科目をもって表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第15項)。

ただし、これらの金額の重要性が乏しい場合、法人税、地方法人税、住民税および事業税(所得割)に含めて表示することができます(同会計基準第15項ただし書き)。

なお、更正等による追徴税額および還付税額を示す科目としては、過年度法人税等が考えられます。

事業税の付加価値割および資本割

事業税の付加価値割および資本割の更正等による追徴税額および還付税額は、原則として、損益計算書の販売費及び一般管理費として表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第16項)。

ただし、合理的な配分方法に基づきその一部を売上原価として表示することもできます(同会計基準第16項ただし書き)。

未納付の法人税、住民税及び事業税等の更正等による追徴税額

法人税、住民税及び事業税等の更正等による追徴税額のうち納付されていない税額は、当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等のうち納付されていない税額(未払法人税等)に含めて表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第17項)。

未受領の法人税、住民税及び事業税等の更正等による還付税額

法人税、住民税及び事業税等の更正等による還付税額のうち受領されていない税額は、当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等の還付税額のうち受領されていない税額(未収還付法人税等)に含めて表示します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第18項)。

適用時期

2022年10月28日改正の法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準は、2024年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用します(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第20-2項)。

ただし、2023年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首からの早期適用も認められます(同会計基準第20-2項ただし書き)。

従来は、法人税、住民税及び事業税等は、損益に表示されていましたが、2022年の改正では、損益と純資産に区分して表示することとなりました。

当該改正は、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱い、原則として、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する必要があります(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第20-3項)。

しかし、新たな会計方針に従って過去の期間の会計処理を行った上で、開示についての組替などを行うことは、財務諸表作成者に過度な負担が生じる可能性があります(同会計基準43項)。

そのため、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を、適用初年度の期首の利益剰余金に加減するとともに、対応する金額を資本剰余金、評価・換算差額等またはその他の包括利益累計額のうち、適切な区分に加減し、当該期首から新たな会計方針を適用することができるものとされています(同会計基準第20-3項ただし書き)。