株主資本以外の各項目とは
貸借対照表には、資産、負債、資本が表示されます。
資産は、過去の取引または事象の結果として企業が支配する経済的資源です。また、負債は、過去の取引または事象の結果として企業が有する経済的資源を放棄したり引渡したりする義務のことです。そして、資本は、企業の所有者たる出資者、株式会社の場合は株主に帰属する部分のことをいいます。
貸借対照表では、資産は借方、負債と資本は貸方に表示されます。ここで貸方に表示される負債は将来返済義務があるもの、資本は株主に帰属するものと考えた場合、負債とも資本ともいえない貸方項目が生じることがあります。
このような負債とも資本ともいえない貸方項目を株主資本以外の各項目として、純資産の部の株主資本の部の下に表示します。
株主資本以外の各項目には、評価・換算差額等、株式引受権、新株予約権があります。
評価・換算差額等
評価・換算差額等には、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益等が表示されます。
その他有価証券評価差額金
その他有価証券評価差額金は、時価のあるその他有価証券を時価評価した時に生じる取得原価との差額です。
繰延ヘッジ損益
繰延ヘッジ損益は、ヘッジ会計を適用している場合に次期以降に繰延べられた損益のことです。企業は保有している資産や負債の相場変動の危険(リスク)を回避(ヘッジ)するために金融派生商品(デリバティブ)を利用することがあります。これをヘッジ取引といいます。ヘッジ対象である資産や負債から生じる損益とヘッジ手段である金融派生商品から生じる損益を相殺することで、相場変動リスクを回避するのがヘッジ取引の狙いです。
株式引受権
取締役等の報酬等として金銭の払込み等を要しないで株式の発行等を する場合、契約上、株式の発行等について権利確定条件が付されていることがあります。
当該権利確定条件が達成された場合に株式の発行等が行われますが、取締役の役務の提供から株式の交付までの間は、株式引受権を純資産の部に計上します。
権利確定条件の達成に伴い新株を発行する場合には、株式引受権は払込資本に振替えられます。
新株予約権
新株予約権は、新株予約権者が権利を行使した時に会社が、新株を発行する義務または新株の発行に代えて自己株式を移転する義務を負うものです。
新株予約権が行使されると、新株予約権は払込資本に振替えられます。
なお、新株予約権の具体例はストック・オプションです。