繰延税金資産及び繰延税金負債の表示-平成20年3月25日改正
「税効果会計に係る会計基準 第三 1」では、繰延税金資産及び繰延税金負債の表示方法について以下のように記述しています。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、これらに関連した資産・負債の分類に基づいて、繰延税金資産については流動負債又は投資その他の資産として、繰延税金負債については流動負債又は固定負債として表示しなければならない。
繰延税金資産及び繰延税金負債の流動固定分類
当期末に計上された繰延税金資産及び繰延税金負債が以下の通りだったとします。
上記の繰延税金資産と繰延税金負債を関連する資産、負債の分類に基づいて、流動固定分類すると以下のようになります。
- 棚卸資産評価損は、流動資産に計上される棚卸資産に関連するので、当該繰延税金資産は流動資産に分類されます。
- 減価償却超過額は、固定資産に計上される有形固定資産に関連するので、当該繰延税金資産は固定資産に分類されます。
- 賞与引当金繰入超過額は、流動負債に計上される賞与引当金に関連するので、当該繰延税金資産は流動資産に分類されます。
- 未払事業税は、流動負債に計上されるので、当該繰延税金資産は流動資産に分類されます。
- 固定資産圧縮積立金は、固定資産と関連するので、当該繰延税金負債は固定負債に分類されます。
- その他有価証券評価差額金は、固定資産に計上される投資有価証券に関連するので、当該繰延税金負債は固定負債に分類されます。
上記のように分類した後、繰延税金資産及び繰延税金負債を流動項目と固定項目ごとに集計すると以下のようになります。
- 繰延税金資産(流動)=400
- 繰延税金資産(固定)=320
- 繰延税金負債(流動)=0
- 繰延税金負債(固定)=280
さらに流動資産に属する繰延税金資産と流動負債に属する繰延税金負債を相殺し、固定資産(投資その他の資産)に属する繰延税金資産と固定負債に属する繰延税金負債を相殺した純額を貸借対照表に表示します。上記の繰延税金資産と繰延税金負債を相殺した後の貸借対照表の表示は以下のようになります。
なお、その他有価証券の評価差額金から発生した繰延税金負債は、実務上、評価差額以外の将来減算一時差異との相殺はできないものとして取り扱われています。
特定の資産・負債に関連付けできない場合
繰延税金資産又は繰延税金負債を特定の資産・負債に関連付けることができない場合には、一年基準により、翌期に解消される見込みの繰延税金資産又は繰延税金負債は、流動資産又は流動負債に表示し、それ以外のものについては固定資産又は固定負債に表示します。
未払法人税等と未収還付法人税等の区分表示
納付すべき法人税等の未払額は、未払法人税等として負債に計上しますが、この場合、繰延税金負債は未払法人税等と区別して表示することになります。
また、法人税の繰戻還付を受ける場合は、未収分を未収還付法人税等として資産に計上し、繰延税金資産とは区別して表示します。
なお、現在の「税効果会計に係る会計基準 第三 1」の解説は以下のページに掲載しています。