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原価の部門別計算

原価計算基準15は、原価の部門別計算を以下のように定義しています。

原価の部門別計算とは、費目別計算においては握された原価要素を、原価部門別に分類集計する手続をいい、原価計算における第二次の計算段階である。

小規模な工場であれば、単純作業が主となることから、原価部門を細かく分ける必要性は乏しいです。しかし、一定規模以上の工場になれば、作業が複雑となることから、権限と責任に応じて作業を区分し、各作業場所でどれだけの原価が発生したかを把握する必要性が出てきます。そのため、原価の部門別計算を実施しなければなりません。

部門別計算の意義と目的

原価計算基準16では、原価部門を以下のように定義しています。

原価部門とは、原価の発生を機能別、責任区分別に管理するとともに、製品原価の計算を正確にするために、原価要素を分類集計する計算組織上の区分をいい、これを諸製造部門と諸補助部門とに分ける。

原価部門は、それ自体が原価中心点となります。原価中心点とは、原価を責任区分または機能別に分類集計するための計算組織のことです。

原価の部門別計算の目的には、主として、製造間接費の配賦計算を合理的に実施することを通じて製品原価の正確な計算を行うことと原価をその発生場所において分類・集計することを通じて原価管理を効果的に行うことの2つがあります。

原価部門の分類

原価部門は、製造活動に直接かかわるかどうかで、製造部門と補助部門に分類されます。

製造部門

原価計算基準16(一)では、製造部門を以下のように規定しています。

製造部門とは、直接製造作業の行なわれる部門をいい、製品の種類別、製品生成の段階、製造活動の種類別等にしたがって、これを各種の部門又は工程に分ける。たとえば機械製作工場における鋳造、鍛造、機械加工、組立等の各部門はその例である。
副産物の加工、包装品の製造等を行なういわゆる副経営は、これを製造部門とする。
製造に関する諸部門は、必要ある場合には、さらに機械設備の種類、作業区分等にしたがって、これを各小工程又は各作業単位に細分する。

製造部門は、企業の製造活動に直接かかわる部門のことです。製造部門は、さらに主経営部門と副経営部門に細分することもできます。

  • 主経営部門
    事業の目的とする主な製品の直接製造作業が行われる製造部門のことです。
  • 副経営部門
    副産物の加工、包装品の製造など、副次的な製品の直接製造作業が行われる製造部門のことです。

補助部門

原価計算基準16(二)では、補助部門を以下のように規定しています。

補助部門とは、製造部門に対して補助的関係にある部門をいい、これを補助経営部門と工場管理部門とに分け、さらに機能の種類別等にしたがって、これを各種の部門に分ける。
補助経営部門とは、その事業の目的とする製品の生産に直接関与しないで、自己の製品又は用役を製造部門に提供する諸部門をいい、たとえば動力部、修繕部、運搬部、工具製作部、検査部等がそれである。工具製作、修繕、動力等の補助経営部門が相当の規模となった場合には、これを独立の経営単位とし、計算上製造部門として取り扱う。
工場管理部門とは、管理的機能を行なう諸部門をいい、たとえば材料部、労務部、企画部、試験研究部、工場事務部等がそれである。

補助部門は、用役の提供により間接的に製造部門に奉仕する部門です。補助部門は、補助経営部門と工場管理部門に分けることができます。

  • 補助経営部門
    事業の目的とする製品の生産に直接かかわらずに自己の製品または用役を製造部門に提供する諸部門のことです。
  • 工場管理部門
    管理機能を行う諸部門のことです。

なお、工具製作、修繕、動力などの補助経営部門が相当の規模となった場合には、これを独立した経営単位として、計算上は製造部門として取り扱います。

原価部門設定の原則

原価部門の設定は、原価の部門別計算の目的である製品原価の正確な計算と原価管理に役立ち得るようにしなければなりません。

そのため、原価部門は、作業の性質、責任・権限の区分を考慮する必要があります。また、原価計算の目的なども考慮しなければなりません。

作業の性質と原価部門一致の原則

原価部門は、できるだけ作業の性質に合うように設定しなければなりません。

製品原価を正確に計算するためには、製品の種類や生産活動の種類の違いを考慮して原価部門を設定する必要があります。例えば、機械生産と手作業では生産活動が異なっているので、生産工程を別々の部門として設定します。

職制上の責任・権限と部門一致の原則

原価管理のためには、原価部門を責任・権限の区分と合うように設定しなければなりません。

責任区分と原価部門が不一致の場合、原価責任が不明確になります。権限と責任の区分が原価部門の区分と一致していれば、各原価部門に集計される原価は、各管理者の原価責任の範囲を明らかにし、業績評価にも役立ちます。

原価計算目的と部門設定

原価の部門別計算には、製品原価の正確な計算と原価管理の2つの目的があります。原価部門を設定する場合には、どちらの目的を重視するかも考慮しなければなりません。

製品原価の正確な計算を重視するなら、作業の性質の視点から原価部門を設定することになります。一方、原価管理を重視するなら、責任・権限の区分の視点から原価部門を設定することになります。

また、原価部門は多く設定するほど、製品原価の正確な計算や原価管理に効果的ですが、計算の経済性が害されるという欠点があります。そのため、原価部門をどれだけ設定するのかも考慮すべき要素となります。


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