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事後交付型の会計処理

取締役の報酬等として株式を無償交付する取引のうち、事前交付型については、新株の発行を行う場合自己株式を処分する場合で、会計処理が異なります。

新株の発行を行う場合の会計処理

報酬費用の認識および測定

取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する契約を締結し、これに応じて企業が取締役等から取得するサービスは、事前交付型の新株の発行を行う場合と同様にサービスの取得に応じて費用を計上し、対応する金額は、株式の発行等が行われるまでの間、貸借対照表の純資産の部の株主資本以外の項目に株式引受権として計上します(取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い第15項)。

株式引受権は、ストック・オプションにおける新株予約権と同様の特徴を有していることから、貸借対照表の純資産の部の株主資本以外の項目に計上します(同取扱い第49項)。

払込資本の認識

事後交付型については、対象勤務期間後に株式を交付するため、対象勤務期間中に計上された費用に対応する金額は、将来的に株式を交付する性質のものとして累積されていきます(取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い第48項)。

そして、権利確定日後の割当日において、新株を発行した場合には、株式引受権として計上した額を資本金または資本準備金に振り替えます(同取扱い第16項)。

自己株式を処分する場合の会計処理

取締役等の報酬等として自己株式を処分する場合、新株の発行を行う場合と同様に会計処理をします(取締役等の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い第17項)。

割当日において、自己株式を処分した場合には、自己株式の取得原価と、株式引受権の帳簿価額との差額を、自己株式処分差額として処理します(同取扱い第18項)。すなわち、自己株式処分差益はその他資本剰余金に計上し、自己株式処分差損はその他資本剰余金から減額します。自己株式処分差損をその他資本剰余金から減額しきれない場合は、その他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額します(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準第9項、第10項および第12項)。