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子会社および関連会社が保有する当該会社の自己株式に関する連結財務諸表における取扱い

連結子会社による当該連結子会社の自己株式の非支配株主からの取得および非支配株主への処分は、それぞれ親会社による子会社株式の追加取得および一部売却に準じて処理します(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針第17項)。

この場合、親会社の持分比率の変動を認識すべきかが問題になりますが、連結子会社が自己株式を非支配株主から取得した段階で、実際に連結子会社の純資産の変動が生じるとともに、非支配株主が有する株式数が減少していることから持分比率の変動を認識する必要があります(同適用指針第47項)。

また、以下の理由からも、親会社の持分比率の変動を認識すべきと考えられます(同適用指針第48項)。


  1. 持分比率の変動を認識しなかった場合、実際に非支配株主が減少しているのに、減少に見合う非支配株主に帰属する当期純利益および非支配株主持分の減少が認識されないことになる。

  2. 会社法では、自己株式の保有目的を限定していないため、子会社による自己株式の保有が、長期間継続することが想定され、自己株式の取得が処分および消却までの暫定的な状態であるとは言い切れない。

連結子会社による自己株式の取得および処分

自己株式の取得の対価と非支配株主持分の減少額との差額

連結子会社による当該連結子会社の自己株式の非支配株主からの取得を、親会社による子会社株式の追加取得に準じて処理する場合、自己株式の取得の対価と非支配株主持分の減少額との差額を資本剰余金として処理します(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針第18項)。

このような取扱いとするのは、平成25年(2013年)改正の連結財務諸表に関する会計基準で、非支配株主との取引によって生じた親会社の持分変動による差額は資本剰余金とすることとされたからです。そのため、連結子会社における当該連結子会社の非支配株主との取引による親会社の持分変動は、連結上の資本剰余金の増減として処理することが適切とされました(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針第49項)。



連結子会社による当該連結子会社の自己株式の非支配株主への処分

連結子会社による当該連結子会社の自己株式の非支配株主への処分を、親会社による子会社株式の一部売却に準じて処理する場合、連結子会社による非支配株主への第三者割当増資に準じて処理します(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針第19項)。



連結子会社が保有する自己株式を消却した場合

連結子会社が、保有する自己株式を消却した場合、連結貸借対照表上、資産の部、負債の部および純資産の部に変動は生じません(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針第20項)。



持分法における取扱い

持分法の適用対象となっている子会社および関連会社(持分法適用会社)による当該持分法適用会社の自己株式の親会社等以外からの取得および親会社等以外への処分は、それぞれ親会社等による持分法適用会社の株式の追加取得および一部売却に準じて処理します(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針第21項)。

ここで、親会社等とは、子会社においては親会社、関連会社においては当該会社に対して持分法を適用する投資会社をいいます。

親会社等以外の株主からの自己株式の取得

親会社等以外の株主からの自己株式の取得の場合は、自己株式の取得の対価と親会社等以外の持分の減少額との差額を投資に含め、のれん(または負ののれん)と同様に処理します(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針第56項)。

親会社等以外の株主への自己株式の処分

親会社等以外の株主への自己株式の処分の場合は、通常は持分法適用会社における親会社等以外に対する第三者割当増資に準じて処理します(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針第56項)。

保有する自己株式を消却した場合

持分法適用会社が、保有する自己株式を消却した場合、持分法上の会計処理は生じません(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針第22項)。