HOME > 費目別計算 > 労務費 >

 

間接労務費の計算

原価計算基準12(二)では、間接労務費は当該原価計算期間の負担に属する要支払額をもって計算すると規定されています。

間接労務費であって、間接工賃金、給料、賞与手当等は、原則として当該原価計算期間の負担に属する要支払額をもって計算する。

間接労務費には、直接工の間接作業賃金、間接工賃金、手待賃金、休業賃金、給料、従業員賞与手当、退職給与引当金繰入額(退職給付費用)、福利費(健康保険料負担金等)があります。

このうち、直接工の間接作業賃金と手待賃金以外は、作業時間報告書による把握は行いません。そのため、間接工賃金などの多くの費目は、当該原価計算期間の負担に属する要支払額をもって消費額とします。

なお、当期要支払額は、以下のように計算します。

  • 当期要支払額=当期実際支払額-前期未払額+当期未払額

間接労務費の計算の具体例

例えば、甲工場の5月度の賃金関連の資料が以下の通りだったとします。

5月度の直接工と間接工の給与支給総額

  • 直接工
    基本賃金=900,000円
    時間外手当=150,000円
    休日出勤手当=40,000円
    通勤手当=80,000円
    合計=1,170,000円

  • 間接工
    基本賃金=400,000円
    時間外手当=70,000円
    休日出勤手当=25,000円
    通勤手当=35,000円
    合計=530,000円

直接工の賃金関係資料

  1. 直接工の単位時間当たり賃金は900円
  2. 5月度直接作業時間=1,000時間
  3. 5月度間接作業時間=400時間
  4. 5月度手待時間=100時間
  5. 4月度の未払賃金に対応する就業時間=450時間
  6. 5月度の未払賃金に対応する就業時間=250時間

間接工の賃金関係資料

  1. 4月度の未払賃金額=150,000円
  2. 5月度の未払賃金額=110,000円

その他の賃金関係資料

  1. 5月度の従業員賞与は、直接工が100,000円、間接工が50,000円
  2. 退職給付費用は、直接工が30,000円、間接工が10,000円

間接労務費の計算

5月度の間接労務費は、以下の賃金種類で構成されています。

  1. 直接工の間接作業時間と手待時間に対応する賃金
  2. 間接工賃金の要支給額
  3. 直接工と間接工の通勤手当
  4. 直接工と間接工の従業員賞与
  5. 直接工と間接工の退職給付費用

直接工の間接作業時間と手待時間に対応する賃金

直接工の単位当たり賃金は900円、間接作業時間は400時間、手待時間は100時間なので、直接工の間接作業時間と手待時間に対応する賃金は以下のように計算できます。

  • 900円×(400時間+100時間)=450,000円

間接工賃金の要支給額

間接工賃金の要支給額は、基本賃金、時間外手当、休日出勤手当の5月度支払額から4月度の未払賃金額を差引き、5月度の未払賃金額を加算して計算します。

  • 400,000円+70,000円+25,000円-150,000円+110,000円=455,000円

直接工と間接工の通勤手当

直接工の通勤手当は80,000円、間接工の通勤手当は35,000円なので、合計すると115,000円になります。

直接工と間接工の従業員賞与

直接工の従業員賞与は100,000円、間接工の従業員賞与は50,000円なので、合計すると150,000円になります。

直接工と間接工の退職給付費用

直接工の退職給付費用は30,000円、間接工の退職給付費用は10,000円なので、合計すると40,000円になります。

間接労務費合計額

以上より、間接労務費の合計額は1,210,000円になります。

  • 450,000円+455,000円+115,000円+150,000円+40,000円=1,210,000円

なお、直接労務費は、直接工の直接作業時間1,000時間に単位時間当たり賃金900円を乗じた900,000円になります。