経費の計算
経費には、個々の製品と関連付けて把握できる直接経費と個々の製品と関連付けることができない間接経費があります。
原価計算基準10では、直接経費と間接経費の具体例が列挙されています。
- 直接経費
外注加工賃 - 間接経費
福利施設負担額、厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕料、電力料、ガス代、水道料、租税公課、旅費交通費、通信費、保管料、たな卸減耗費、雑費
直接経費の費目
直接経費には、外注加工賃の他に特許権使用料、仕損費、専用冶工具、鍛金費、設計費、型代などがあります。
直接経費の計算は、支払伝票や振替伝票などに基づいて、直接経費集計表を通じて行われます。
外注加工賃
外注加工賃は、部品や半製品などの加工を下請工場に依頼した時に発生する費用です。
外注には、材料先持と材料支給の2つの形態があります。
材料先持
外注工場が、依頼主の仕様書に基づいて材料を購入して加工し、部品または半製品として依頼主に納入する方法です。
材料支給
依頼主が、材料を無償で外注工場に支給し加工のみを依頼する方法です。
材料先持の場合は、部品や半製品を仕入れているのと同じなので、外注加工賃ではなく買入部品として直接材料費に計上します。
材料支給は、外注工場が加工のみを行っているので、外注加工賃として直接経費に計上します。なお、外注加工賃でも、少額な場合には間接経費として処理する方法が認められています。
間接経費の分類
原価計算基準13では、経費を支払経費、月割経費、測定経費に分類しています。
(一)経費は、原則として当該原価計算期間の実際の発生額をもって計算する。ただし、必要ある場合には、予定価格又は予定額をもって計算することができる。
(二)減価償却費、不動産賃借料等であって、数ヵ月分を一時に総括的に計算し又は支払う経費については、これを月割り計算する。
(三)電力料、ガス代、水道料等であって、消費量を計量できる経費については、その実際消費量に基づいて計算する。
原価計算基準10では、「たな卸減耗費」も間接経費の例として挙げられていました。棚卸減耗費は、原価計算基準13の分類には当てはまりませんが、当該事象の発生の事実を根拠として把握される発生経費に分類されます。
したがって、間接経費は、支払経費、月割経費、測定経費、発生経費のいずれかに分類されます。原価計算基準13に列挙されている間接経費を4分類すると概ね以下のようになります。
- 支払経費
福利施設負担額、厚生費、旅費交通費、通信費、保管料、修繕料、雑費 - 月割経費
減価償却費、賃借料、保険料、租税公課 - 測定経費
電力料、ガス代、水道料 - 発生経費
たな卸減耗費
租税公課は、固定資産税や組合・各種団体の賦課金は月割経費の性格を有していますが、印紙税は支払経費の性格を有しており、一概に月割経費か支払経費かいずれかに分類することはできません。その他の間接経費についても、いずれかに分類するのが難しい場合があります。
複合費の設定
原価計算基準10では、間接経費について複合費を設定することを認めています。
間接経費は、原則として形態別に分類するが、必要に応じ修繕費、運搬費等の複合費を設定することができる。
間接経費は、減価償却費、賃借料、修繕料など形態別に分類するのが原則であり、このように形態別に分類された経費を単純経費といいます。
一方、複数の単純経費を特定の目的に関わらせて設定したものを複合費といいます。修繕費や運搬費がその具体例です。
例えば、修繕費は、修繕材料費、修繕工賃金、外部への修繕料の支払いを合算した複合費です。修繕費は、補助部門として修繕部門を設け、そこで発生する費目を修繕費として把握できます。しかし、補助部門の設定は手間がかかるので、その簡易的な手段として複合費を利用することがあります。