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製造間接費の予定配賦

製造間接費を実際配賦によって製品に配賦計算する場合、以下の欠点があります。

  1. 製品の単位原価が操業度の高低に左右される。
  2. 原価計算期間が終了しないと配賦計算が行えないため、製品原価が期末までわからない。
  3. 予算制度との有機的関連性がない。

上記理由から、製造間接費は実際配賦ではなく予定配賦によるのが普通であり、原価計算基準33(二)でも、「間接費は、原則として予定配賦率をもって各指図書に配賦する」としています。

製造間接費を予定配賦した場合には、以下の利点があります。

  1. 製品の単位原価の変動を避けられる。
  2. 製品原価の計算の迅速化。
  3. 製造間接費の管理に資する。

製造間接費を予定配賦するためには、その会計期間に使用する予定配賦率をあらかじめ算定しておかなければなりません。製造間接費の予定配賦率は以下の計算式で算定します。

  • 予定配賦率=製造間接費予定額/予定配賦基準数値

製造間接費予定額は、予定配賦率の算定だけでなく、製造間接費の管理のためにも使用できるように予測するのが望ましく、予算が制度化されている企業では製造間接費予算を活用します。

予定操業度

操業度とは、経営能力を一定とした場合のその利用度のことです。ここで経営能力とは、生産、販売、人的組織能力など、企業の総合的な活動能力を意味します。

製造間接費の予定配賦率は、分母の予定配賦基準数値(予定操業度)が決まっていなければ算定できません。そのため、どの予定操業度を選択するかを決定する必要があります。

予定操業度には以下があります。

  1. 最大操業度
  2. 実際的操業度
  3. 正常操業度
  4. 短期予定操業度

最大操業度

最大操業度は、理論上計算できる最大の操業度のことで、機械も人間も常に最大の能率で活動することを前提とした理論的生産能力です。

しかし、機械の故障、工員の休憩時間のように不可避的に発生する作業休止による生産量や作業時間の減少を考慮していないため、最大操業度を予定操業度として用いるのは妥当ではありません。

ただし、実際的操業度算定の基礎にはなります。

実際的操業度

実際的操業度は、最大操業度から製造部門にある隘路(あいろ)などの諸制約条件を考慮した操業度です。

企業活動では、機械の故障、修繕、段取など不可避的な作業の休止や工員の休憩時間も考慮しなければなりません。そのような物的・人的な故障、非能率、その他の余裕を見込んで、達成可能な水準として導き出したのが実際的操業度です。

実際的操業度は、達成可能最大操業度ともいいます。

販売能力が考慮されていない実際的操業度は、短期的に実現可能な操業度とはなり得ません。

正常操業度

正常操業度は、過去の平均操業度から異常値を除外し、将来の予想される値を加味して決定した操業度です。平均操業度とも呼ばれます。

製品の販売に際して予想される需要の季節的変動や景気変動を考慮し、生産量の増減を長期的に平均化した操業度で、長期的に販売量と生産量が一致するという視点に立って導き出されます。

短期予定操業度

短期予定操業度は、次年度の販売予定量に基づいて決めた製造部門の操業度のことです。期待実際操業度とも呼ばれます。

短期予定操業度は、予算編成の基礎として用いられ、年間を通して実際操業度と一致するので棚卸資産価額算定にも妥当な操業度です。

なお、原価計算基準33(五)では、短期予定操業度を原則としています。

予定配賦率の計算の基礎となる予定操業度は、原則として、一年又は一会計期間において予期される操業度であり、それは、技術的に達成可能な最大操業度ではなく、この期間における生産ならびに販売事情を考慮して定めた操業度である。
操業度は、原則として直接作業時間、機械運転時間、生産数量等間接費の発生と関連ある適当な物量基準によって、これを表示する。
操業度は、原則としてこれを部門に区分して測定表示する。

固定予算と変動予算

製造間接費予算には、固定予算と変動予算があります。

固定予算

固定予算は、予定操業度のもとで計画された製造間接費の発生目標額のことです。

固定予算では、実際操業度が予定操業度と異なる場合でも、当初の計画通りの費目別の発生目標額を製造間接費管理の予算として用います。

そのため、操業度の変化に応じて発生する費目を無視することになり、実際操業度と予定操業度がほぼ等しい場合を除いては、製造間接費の実際発生額と予算額との間の差異は管理上の意味を持ちません。

変動予算

変動予算は、製造間接費を操業度の変化に応じて変動する変動費と操業度の変化に関係なく一定で発生する固定費に分けて設定する予算です。

変動予算を用いれば、実際操業度における予算許容額と実際発生額との差として計算される予算差異は、実際発生額が予算よりも多額であったか少額であったかを示すものとなります。

変動予算は、実際操業度と予定操業度が一致しないことを当たり前として、製造間接費の管理に役立つ情報を入手するために考えられたものです。

固定予算と比較すると、変動予算は、製造間接費の管理に役立ちますが、予算差異の合計額を計算しただけでは大きな管理効果を期待できません。実際発生額が予算に対して有利な費目と実際発生額が予算に対して不利な費目が相殺されている可能性があるからです。

そのような理由から、製造間接費は、費目別に予算と実績を比較できるように工夫する必要があります。

実査法変動予算

実務では、製造間接費を純粋に変動費と固定費に分解するのは難しいのが現状です。準固定費準変動費を固定費と変動費に分解するのは困難な場合があり、必ずしも製造間接費を変動費と固定費に分解できるとは限りません。

このように製造間接費を変動費と固定費に完全に分解できない場合には、実査法変動予算を用いるのが妥当です。

実査法変動予算は、予定操業度を中心として予想される範囲で種々の操業度を一定間隔に設定し、各操業度に応じた製造間接費予算を複数用意した予算です。

例えば、予定操業度を100,000時間とし、90,000時間、95,000時間、105,000時間、110,000時間のそれぞれの場合の製造間接費予算額も設定しておきます。そして、実際操業度が96,000時間だった場合には、最も近い95,000時間の製造間接費予算額と実際発生額を比較して予算差異を求めます。


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