正規の簿記の原則
企業会計原則一般原則二では、正規の簿記の原則について以下のように記述しています。
企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
企業が利害関係者に財政状態及び経営成績を報告するためには、正規の帳簿記録が必要となります。
正規の帳簿記録とは、企業が行うすべての取引、つまり、資産、負債、資本、収益及び費用の変動や発生を完全に把握かつ網羅し、組織的かつ体系的に帳簿に記録することを意味します。正規の帳簿記録というためには、網羅性、検証可能性、秩序性を備えている必要がありますが、これらの要件を満たした帳簿記録には複式簿記があります。
複式簿記は、現在多くの国で採用されている優れた帳簿記録で、我が国で行われている簿記検定も複式簿記の一定の知識や技術を認定する試験となっています。
ただし、正規の簿記の原則が要求する正確な会計帳簿は、必ずしも複式簿記によって作成される必要はなく、網羅性、検証可能性及び秩序性を備えていれば単式簿記で作成した会計帳簿であっても問題ありません。しかし、単式簿記の専門家にお会いしたことはありませんし、実際に存在するのかどうかもわかりません。
なお、企業会計原則注解(注1)では、企業会計の目的が企業の財務内容を明らかにし利害関係者の判断を誤らせないことにあることから、重要性の乏しいものについては本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法に従って処理しても正規の簿記の原則に従った処理として認められるという重要性の原則の適用について記述されています。