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真実性の原則

企業会計原則一般原則一では、真実性の原則について以下のように記述しています。

企業会計は、企業の財政状態および経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

真実性の原則は、企業会計の最高規範です。企業は、財政状態及び経営成績を正しく報告しなければなりません。間違った会計記録を作成してはいけませんし、嘘をつくことも許されません。

これは、ごくごく当たり前のことを述べているのですが、企業会計においては、利害関係者の意思決定を誤らせないようにするためにとても重要な原則となっています。

ただし、真実性の原則にいう「真実な報告」とは、絶対的真実性ではなく、相対的真実性であるとされています。

絶対的真実性と相対的真実性

絶対的真実性とは、時代や状況にかかわらず、真実とは唯一絶対ということを意味します。例えば、赤色は、時代が変わろうが、天気が晴れていようが雨が降っていようが、日本だろうがアメリカだろうが、いかなる場合でも赤色はこのような色であることに変わりません。

これに対して相対的真実性とは、真実の内容は、時代によって異なることがあるし、企業の置かれている環境によっても異なることがあるということを意味します。

例えば、200円の商品を2年間の分割払いで販売したとします。この場合、1年目の売上は200円となりますが、1年目は商品の代金を半分しか回収していないので、売上は100円とすることも認められています。まったく同じ商品を販売したにもかかわらず、計上される売上が200円でもよいし、100円でもよいというのは、ちょっと変な気がしますが、どちらも考え方としては間違っているようには思えませんよね。

また、100万円の機械をA社は4年間使用する予定だったとし、B社は5年間使用する予定だったとします。この場合、機械の購入代金をA社は毎年25万円ずつ4年に分けて費用として計上し、B社は20万円ずつ5年に分けて費用として計上することになります。まったく同じ機械にもかかわらず、毎年の費用の計上額がA社とB社で異なるのは、その機械の使用頻度の見積もりがA社とB社で違うからです。つまり、A社の方がB社よりも1日当たりの稼働時間が長いため、機械の寿命が早く到来すると見積もっていることが、A社がB社よりも1年早く機械の購入代金を費用として計上する必要があると判断した理由になっているのです。

このようにひとつの事実に対して複数の会計処理が認められていたり、見積もりという主観が介入したりすることが相対的真実性です。そして、このような相対的真実性から、真実性の原則は、誰もが納得できる公正性や適正性を意味するものと考えられています。