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株式併合または株式分割が行われた場合の1株当たり当期純利益の算定

株式併合は、数個の株式を合わせて、それよりも少数の株式とすることです。

一方、株式分割は、すでに発行されている株式を細分化して発行済株式数を増加させることです。

株式併合も株式分割も、それが実施されることで発行済株式数が変化することから1株当たり当期純利益の算定に影響を与えます。

期中平均株式数の計算

当期に株式併合または株式分割が行われた場合、1株当たり当期純利益の算定上、普通株式の期中平均株式数は、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首に当該株式併合または株式分割が行われたと仮定します(1株当たり当期純利益に関する会計基準第30-2項)。

ここで、株式分割には、発行済普通株式のみ変化する場合であり、同一種類の株式が交付される株式無償割当て等、株式分割と同様の効果を有する事象の他、時価より低い払込金額で株主への割当てが行われた場合に含まれる株式分割相当部分も含みます。

表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首に株式併合または株式分割が行われたと仮定するのは、株式併合または株式分割は期末に行われても既存の普通株主に一律に影響するものであるため、普通株主に関する企業の成果を示すためには、普通株式の期中平均株式数および普通株式増加数を、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首に、当該株式併合または株式分割が行われたと仮定して算定することが適当だからです(同会計基準第59-2項)。また、このような仮定を置くことは、株式併合または株式分割の影響が、株価とともに1株当たり当期純利益にも反映されることによって、株価収益率(株価/1株当たり当期純利益)が適切に算定されるという見方とも整合的です。

貸借対照表日後に株式併合または株式分割が行われた場合

当期の貸借対照表日後に株式併合または株式分割が行われた場合も、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首に当該株式併合または株式分割が行われたと仮定して1株当たり当期純利益を算定します(1株当たり当期純利益に関する会計基準第30-2項また書き)。

貸借対照表日後の株式併合または株式分割は、本来、開示後発事象に該当しますが、国際的な会計基準では、当期の貸借対照表日後に株式併合または株式分割が行われ場合も、当期に株式併合または株式分割が行われた場合と同様、1株当たり当期純利益および潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定に、当該株式併合または株式分割の影響を反映しています(同会計基準第59-3項)。

当期の貸借対照表日後の株式併合または株式分割の影響を反映させるのは、国際的な財務諸表の比較可能性を確保することにつながり、また、株価収益率が適切に算定されるという見方と整合的なため、我が国会計基準でも採用されました。

いつ時点の株式併合または株式分割の影響を反映するかの判断は、開示後発事象の開示に関する現行の実務に委ねられることになります (同会計基準第59-3項なお書き)。

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

当期に株式併合または株式分割が行われた場合、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定上、普通株式増加数は、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首に当該株式併合または株式分割が行われたと仮定します。また、当期の貸借対照表日後に株式併合または株式分割が行われた場合も、同様に仮定して算定します(1株当たり当期純利益に関する会計基準第30-3項)。