普通株式に係る1株当たり純資産額の計算
ここでは、普通株式に係る1株当たり純資産額の計算について、具体例を用いて解説します。
前提条件
- 甲社(3月決算会社)のx2年3月31日の貸借対照表の純資産の部の合計金額は500,000,000円です。
- 新株予約権の残高は20,000,000円です。
- 評価・換算差額等の内訳は以下の通りです。
その他有価証券評価差額金=1,000,000円
繰延ヘッジ損益=500,000円 - 期末の自己株式数は40,000株で、純資産の部から16,000,000円が差し引かれています。
- 普通株式の発行済株式数は1,000,000株です。
1株当たり純資産額の計算
普通株式に係る1株当たり純資産額は、以下の計算式で算定します。
普通株式に係る期末の純資産額
普通株式に係る期末の純資産額は、貸借対照表の純資産の部の合計額から以下の金額を控除した金額となります。
- 新株式申込証拠金
- 自己株式申込証拠金
- 普通株式よりも配当請求権または残余財産分配請求権が優先的な株式の払込金額(当該優先的な株式に係る資本金および資本剰余金の合計額)
- 当該会計期間に係る剰余金の配当であって普通株主に関連しない金額
- 新株予約権
- 非支配株主持分(連結財務諸表の場合)
本事例では、新株予約権20,000,000円が控除する金額に当てはまるので、これを貸借対照表の純資産の部の合計額500,000,000円から控除して、普通株式に係る期末の純資産額480,000,000円を計算します。
- 普通株式に係る期末の純資産額
=500,000,000円-20,000,000円
=480,000,000円
なお、自己株式16,000,000円は、純資産の部の合計からすでに差し引かれているので、普通株式に係る期末の純資産額の計算に際して控除する必要はありません。
1株当たり純資産額
以下の計算より、普通株式に係る1株当たり純資産額は500円です。
- 普通株式に係る1株当たり純資産額
=480,000,000円/(1,000,000株-40,000株)
=480,000,000円/960,000株
=500円