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ストック・オプショ等に関する開示

ストック・オプション等に関しては、以下の内容を注記する必要があります(ストック・オプション等に関する会計基準第16項)。


  1. ストック・オプション等に関する会計基準の適用による財務諸表への影響額
  2. 各会計期間において存在したストック・オプションの内容、規模(付与数等)およびその変動状況(行使数や失効数等)
  3. ストック・オプションの公正な評価単価の見積方法
  4. ストック・オプションの権利確定数の見積方法
  5. ストック・オプションの単位当たりの本源的価値による算定を行う場合には、当該ストック・オプションの各期末における本源的価値の合計額および各会計期間中に権利行使されたストック・オプションの権利行使日における本源的価値の合計額
  6. ストック・オプションの条件変更の状況
  7. 自社株式オプションまたは自社の株式に対価性がない場合には、その旨およびそのように判断した根拠

財貨またはサービスの対価として自社株式オプションまたは自社の株式を用いる取引(ストック・オプションを付与する取引を除く。)についても、ストック・オプションを付与する取引に準じて、該当する事項を注記します。

財務諸表への影響額の注記

ストック・オプション等に関する会計基準の適用対象となっている取引について、会計基準を適用したことによる財務諸表への次の影響額を注記します(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第24項)。


  1. サービスを取得した場合には、当該会計期間において計上した費用の額とその科目名称(ストック・オプションを付与した場合は、これに該当する。当該会計期間に新たに付与したストック・オプション等に係る当期の費用計上額と、当該会計期間より前に付与されたストック・オプション等に係る当期の費用計上額の双方を含む。)
  2. 財貨を取得した場合には、その取引による当初の資産計上額(または費用計上額)と科目名称
  3. 権利不行使による失効が生じた場合には、利益として計上した額

ストック・オプションの内容、規模およびその変動状況

当該会計期間において存在したストック・オプションについて、ストック・オプションの内容、規模およびその変動状況として、次の事項を注記します(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第25項)。


  1. 付与対象者の区分(役員、従業員、などの別)および人数
  2. ストック・オプションの数(権利行使された場合に交付することとなる株式の数で表示する。当該企業が複数の種類の株式を発行している場合には、株式の種類別に記載を行う。)
  3. 付与日
  4. 権利確定条件(付されていない場合にはその旨)
  5. 対象勤務期間(定めがない場合にはその旨)
  6. 権利行使期間
  7. 権利行使価格
  8. 付与日における公正な評価単価
  9. 権利行使時の株価の平均値(当該会計期間中に権利行使されたものを対象とする。

以下は、ストック・オプションの内容の記載例です。

ストック・オプションの内容

ストック・オプションの数

ストック・オプションの数に関しては、下記の区分ごとに記載します(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第26項)。


  1. 付与数
  2. 権利不確定による失効数
  3. 権利確定数
  4. 権利未確定残数
  5. 権利行使数
  6. 権利不行使による失効数
  7. 権利確定後の未行使残数

上記の「2」「3」「5」「6」については、当該会計期間中の数を記載します。

「4」「7」については、期首および期末の数を記載します。

以下は、ストック・オプションの数の記載例です。

ストック・オプションの数

集約した記載および簡便な算定方法

ストック・オプションの内容、規模およびその変動状況の注記は、次のいずれかの方法で記載します(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第27項)。


  1. 契約単位で記載する方法
  2. 複数の契約を集約して記載する方法

付与対象者の区分、権利確定条件の内容、対象勤務期間や権利行使期間の長さが概ね類似しているものに関しては、「2」の記載方法によることができます。

ただし、株式の公開前に付与したストック・オプションと、公開後に付与したストック・オプションを集約して記載することはできません。権利行使価格の設定方法が著しく異なるものについても、集約して記載することはできません。

なお、「 権利行使時の株価の平均値」については、月中の平均株価を用いる等、簡便で合理的な算定方法によることができます。

複数の契約を集約して記載する方法により、記載を行う場合は、「権利確定数」「付与日における公正な評価単価」「権利行使時の株価の平均値」に関する集約の方法は、次の方法による必要があります(同適用指針第28項)。


  1. 権利行使時の株価の平均値については当該会計期間中の権利行使数に基づく加重平均値
  2. 付与日における公正な評価単価および権利行使価格については当該会計期間中の権利行使数に基づく加重平均値と当該会計期間末の残存数(権利未確定数と権利確定未行使数との合計)に基づく加重平均値

以下は、集約した記載および簡便な算定方法でのストック・オプションの数の記載例です。

ストック・オプションの数

ストック・オプションの公正な評価単価の見積方法

当該会計期間中に付与されたストック・オプションおよび当該会計期間中の条件変更により公正な評価単価が変更されたストック・オプションにつき、公正な評価単価の見積方法として使用した算定技法並びに使用した主な基礎数値およびその見積方法を記載します(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第29項)。

使用した算定技法と使用した主な基礎数値の見積方法に関し、内容が同一のものについては集約して記載することができます。

ストック・オプションの権利確定数の見積方法

ストック・オプションの権利確定数の見積方法として、勤務条件や業績条件の不達成による失効数の見積方法を記載します(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第30項)。

未公開企業におけるストック・オプションの公正な評価単価の見積方法

未公開企業においてストック・オプションを付与している場合には、ストック・オプションの公正な評価単価の見積方法として、その価値算定の基礎となる自社の株式の評価方法についても注記します(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第31項)。

単位当たりの本源的価値によった場合の開示に関する簡便な算定方法

未公開企業において、ストック・オプションの公正な評価単価に代え、単位当たりの本源的価値によった場合には、各会計期間中に権利行使されたストック・オプションの権利行使日における本源的価値の合計額を注記しなければなりません(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第32項)。

ただし、月中の平均株価を基礎として算定する等の簡便で合理的な算定方法によることができます。

ストック・オプションの条件変更の状況

ストック・オプションの条件変更を行った結果、ストック・オプションの内容として注記した事項に変更が生じた場合は、その変更内容について注記します(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第33項)。

条件変更日におけるストック・オプションの公正な評価単価が付与日の公正な評価単価以下となったため、公正な評価単価の見直しを行わなかった場合にも、その旨を注記します。

財貨またはサービスの取得の対価とした場合

財貨またはサービスの取得の対価として自社株式オプションまたは自社の株式を用いた場合には、該当する項目につき、ストック・オプションの場合の注記に準じて開示を行います(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第34項)。

この場合、取得した財貨またはサービスの内容および財貨またはサービスの取得価額の算定を当該財貨またはサービスの公正な評価額によった場合には、その旨を併せて注記します。

連結財務諸表における開示

連結財務諸表においては、親会社が付与したストック・オプション等の他、連結子会社が付与したストック・オプション等についても開示の対象となります(ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第35項)。