財貨またはサービスの取得の対価として自社株式オプションを付与する取引で、財貨等の公正な評価額の信頼性が高い場合の会計処理
ここでは、財貨またはサービスの取得の対価として自社株式オプションを付与する取引で、財貨等の公正な評価額の信頼性が高い場合の会計処理について具体例を用いて解説します。
前提条件
- 甲社（3月決算会社）は、x2年5月に株主総会において、新株予約権の付与決議が可決されることを条件として、乙社との間で、購入対価を新株予約権とする機械装置の購入契約を締結しました。
- x2年6月の株主総会で上記議案が可決され、7月1日に機械装置が甲社に引き渡されています。なお、x2年7月1日の機械装置の時価は1,000,000円です。
- x2年7月1日に甲社が乙社に付与した新株予約権は200個で、新株予約権の行使で与えられる株式の数は200株です。
- 新株予約権の行使時の払込金額は、1株につき50,000円です。
- 新株予約権の行使期間は、x2年7月1日からx4年6月末日です。
- 付与日における新株予約権の公正な評価単価は、6,000円です。
- 甲社では、機械装置の時価が、新株予約権の公正な評価額より高い信頼性をもって測定されていると判断しています。
- x3年5月に乙社が新株予約権を行使したので、新株を発行しました。
- 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額と新株予約権の金額の合計額を資本金に計上します。
会計処理
x3年3月期
x2年7月1日に機械装置の取得の対価として、乙社に新株予約権200個を付与しています。
甲社では、自社株式オプションの公正な評価額より、取得する機械装置の時価の方が、高い信頼性をもって測定されていると判断しているので、機械装置の取得原価は時価の1,000,000円とします（ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第14項（2））。
よって、機械装置の取得時の会計処理は以下の通りです。
x4年3月期
x3年5月に乙社が新株予約権を行使したので、払込金額と新株予約権の合計額を資本金に計上します。
- 払込金額
=50,000円×200株
=10,000,000円
よって、新株予約権の行使時の会計処理は以下の通りです。
