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退職給付会計における確定給付制度の開示

「退職給付に関する会計基準」の第27項から第29項までで、確定給付制度に関する財務諸表上の表示が規定されています。また、第30項では、確定給付制度に係る注記事項が規定されています。

表示

財務諸表上の表示は以下の通りです。

  1. 積立状況を示す額について、負債となる場合は「退職給付に係る負債」等の適当な科目をもって固定負債に計上します。資産となる場合は、「退職給付に係る資産」等の適当な科目をもって固定資産に計上します。

  2. 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用については、税効果を調整のうえ、純資産の部におけるその他の包括利益累計額に「退職給付に係る調整累計額」等の適当な科目をもって計上します。

  3. 退職給付費用については、原則として売上原価又は販売費及び一般管理費に計上します。ただし、新たに退職給付制度を採用したとき又は給付水準の重要な改定を行ったときに発生する過去勤務費用を発生時に全額費用処理する場合などにおいて、その金額が重要であると認められるときには、当該金額を特別損益として計上することができます。

  4. 当期に発生した未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用並びに当期に費用処理された組替調整額については、その他の包括利益に「退職給付に係る調整額」等の適当な科目をもって、一括して計上します。

注記

連結財務諸表及び個別財務諸表に確定給付制度に関する以下の事項を注記します。ただし、「2」から「11」については、連結財務諸表で注記している場合には、個別財務諸表において記載する必要はありません。

  1. 退職給付の会計処理基準に関する事項
  2. 企業の採用する退職給付制度の概要
  3. 退職給付債務の期首残高と期末残高の調整表
  4. 年金資産の期首残高と期末残高の調整表
  5. 退職給付債務及び年金資産と貸借対照表に計上された退職給付に係る負債及び資産の調整表
  6. 退職給付に関連する損益
  7. その他の包括利益に計上された数理計算上の差異及び過去勤務費用の内訳
  8. 貸借対照表のその他の包括利益累計額に計上された未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の内訳
  9. 年金資産に関する事項(年金資産の主な内訳を含む。)
  10. 数理計算上の計算基礎に関する事項
  11. その他の退職給付に関する事項

平成24年改正基準の個別財務諸表における当面の取扱い

平成24年改正「退職給付に関する会計基準 第39項」では、個別財務諸表上、所定の事項について、当面の間、以下のように取り扱うことが規定されています。

  1. 個別財務諸表上、退職給付債務に未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を加減した額から、年金資産の額を控除した額を負債として計上します。ただし、年金資産の額が退職給付債務に未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を加減した額を超える場合には、資産として計上します。

  2. 個別財務諸表上は、その他の包括利益もその他の包括利益累計額も表示されません。そのため、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用は、その他の包括利益累計額に計上されません。また、これらの当期費用処理された部分についてもその他の包括利益の調整は行われません。また、注記事項の「7」と「8」は、個別財務諸表上は注記されません。

  3. 個別貸借対照表の負債に計上される額は「退職給付引当金」として固定負債に計上します。資産として計上される額は「前払年金費用」等の適当な科目をもって固定資産に計上します。

  4. 連結財務諸表を作成する会社については、個別財務諸表において、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の貸借対照表における取扱いが連結財務諸表と異なる旨を注記します。