企業年金制度の簡便法の計算
ここでは、企業年金制度の簡便法の計算を例を用いて解説します。
計算例
計算の前提
- G社は企業年金制度を採用している。
- 直近1年前の年金財政計算上の数理債務は1,500であった。
- 期首(x1年4月1日)時点の年金資産の時価は500であった。
- 当期(x1年4月1日~x2年3月31日)の掛金拠出額は80であった。
- 当期の年金資産の運用益は20であった。
- 当期(x1年4月1日~x2年3月31日)の退職金支給額は80であった。
- 直近の年金財政計算上の数理債務は2,000であった。
- 期末(x2年3月31日)の年金資産の時価は600であった。
- G社は、従業員数が300人未満の小規模な企業であるため企業年金の計算に簡便法を適用している。なお、年金財政計算上の数理債務を退職給付債務とし、退職給付に係る負債は年金財政計算上の数理債務から年金資産の時価を控除した額である。
簡便法(企業年金制度)のワークシート
以上の計算の前提を基に作成したG社の企業年金制度の簡便法のワークシートは以下のようになります。
- 期首の退職給付債務は、直近1年前の年金財政計算上の数理債務1,500となり、期首の年金資産は500となります。
- 期首の退職給付に係る負債は、期首退職給付債務から期首年金資産を差し引いた金額1,000となります。
期首の退職給付に係る負債=1,500-500=1,000 - 期末の退職給付債務は、直近の年金財政計算上の数理債務2,000となり、期末の年金資産は600となります。
- 期末の退職給付に係る負債は、期末の退職給付債務から期末の年金資産を差し引いた金額となります。
期末の退職給付に係る負債=2,000-600=1,400 - 当期の退職給付債務の退職給付費用は、期末の退職給付債務から期首の退職給付債務を差し引いた金額となります
退職給付費用=2,000-1,500=500 - 当期の年金資産の運用益は、期末の年金資産の時価から期首の年金資産の時価と拠出金支払額を差し引いた金額20となります。
年金資産の運用益=600-500-80=20 - 当期の退職給付費用は、退職給付債務の退職給付費用から年金資産の運用益を差し引いた480となります。
退職給付費用=500-20=480