減損処理後の開示
固定資産について減損処理を行った場合、財務諸表にそれがわかるように開示しなければなりません。
貸借対照表における表示
減損処理を行った資産の貸借対照表における表示は、原則として、減損処理前の取得原価から減損損失を直接控除し、控除後の金額をその後の取得原価とする形式(直接控除方式)で行います(固定資産の減損に係る会計基準四 1.)。
ただし、減価償却を行う有形固定資産については、以下の表示も認められます(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第57項(2)および(3))。
- 減損処理を行った資産に対する減損損失累計額を、取得原価から間接控除する形式(独立間接控除形式)
- 減損処理を行った資産に対する減損損失累計額を減価償却累計額に合算して表示する形式(合算間接控除形式)
なお、減損損失累計額と減価償却累計額の性格は異なると考えられるので、減損処理を行った資産の貸借対照表における表示形式は、例えば、減価償却累計額については各資産科目に対する控除項目として掲記する(間接控除形式)が、減損損失については直接控除形式を採るなど、減価償却累計額の表示形式と同じものである必要はありません(同適用指針第139項)。
損益計算書における表示
減損損失は、原則として、損益計算書に特別損失として表示します(固定資産の減損に係る会計基準四 2.)。
注記
重要な減損損失を認識した場合には、損益計算書(特別損失)に係る注記事項として、以下の項目を注記します(固定資産の減損に係る会計基準四 3.および固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第58項)。
- 減損損失を認識した資産または資産グループについては、その用途、種類、場所などの概要
- 減損損失の認識に至った経緯
- 減損損失の金額については、特別損失に計上した金額と主な固定資産の種類ごとの減損損失の内訳
- 資産グループについて減損損失を認識した場合には、当該資産グループの概要と資産をグルーピングした方法
- 回収可能価額が正味売却価額の場合には、その旨および時価の算定方法、回収可能価額が使用価値の場合にはその旨および割引率
ただし、減損会計基準を初めて適用した事業年度においては、減損損失を計上していなくとも、全般的な資産のグルーピングの方針等を注記することができます(同適用指針第58項ただし書き)。