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減損会計における資産のグルーピング

複数の資産が一体となって独立したキャッシュ・フローを生み出す場合には、減損損失を認識するかどうかの判定と減損損失の測定に際して、合理的な範囲で資産のグルーピングを行う必要があります(固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書四 2.(6)①)。

減損損失を認識するかどうかの判定と減損損失の測定において行われる資産のグルーピングは、他の資産または資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行います(固定資産の減損に係る会計基準二 6.(1))。

なお、当期に行われた資産のグルーピングは、原則として、翌期以降の会計期間においても同様に行います(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第9項)。

概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位

資産のグルーピングにおける概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位を決定する際は、経営の実態が適切に反映されるよう配慮して行わなければなりません。様々な事業を営む企業における資産のグルーピングの方法を一義的に示すことは困難であり、実務的 には、管理会計上の区分や投資の意思決定(資産の処分や事業の廃止に関する意思決定を含む。)を行う際の単位等を考慮してグルーピングの方法を定めることになります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第7項)。具体的には、以下のような手順により資産のグルーピングが行われると考えられます。


  1. 店舗や工場などの資産と対応して継続的に収支の把握がなされている単位を識別し、グルーピングの単位を決定する基礎とする。
  2. 「1」のグルーピングの単位を決定する基礎から生ずるキャッシュ・イン・フローが、製品やサービスの性質、市場などの類似性等によって、他の単位から生ずるキャッシュ・イン・フローと相互補完的であり、当該単位を切り離したときには他の単位から生ずるキャッシュ・イン・フローに大きな影響をおよぼすと考えられる場合には、当該他の単位とグルーピングを行う。

グルーピングの単位を決定する基礎

グルーピングの単位を決定する際には、以下の点を考慮する必要があります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第7項(1))。


  1. 収支は必ずしも企業の外部との間で直接的にキャッシュ・フローが生じている必要はなく、例えば、内部振替価額や共通費の配分額であっても、合理的なものであれば含まれる。
  2. 継続的に収支の把握がなされているものがグルーピングの単位を決定する基礎になる。このため、収支の把握が、通常は行われていないが一時的に設定される単位について行われる場合(例えば、特殊原価調査)は該当しない。
  3. 例えば、賃貸不動産などの1つの資産において、一棟の建物が複数の単位に分割されて、継続的に収支の把握がなされている場合でも、通常はこの1つの資産がグルーピングの単位を決定する基礎になる

資産の処分や事業の廃止

取締役会や常務会等において、資産の処分や事業の廃止に関する意思決定を行い、その代替的な投資も予定されていないときなど、これらに係る資産を切り離しても他の資産または資産グループの使用にほとんど影響を与えない場合があります。

このような場合に該当する資産のうち重要なものは、他の資産または資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として取り扱います(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第8項)。

なお、資産の処分や事業の廃止に関する意思決定は、取締役会等において行われるほか、社内規定等に基づき、他に決定権限が委譲されている場合には、当該決定権限に従った権限者の承認により行われることもあります(同適用指針第71項なお書き)。

将来の使用が見込まれていない遊休資産

将来の使用が見込まれていない遊休資産も、資産の処分や事業の廃止に関する意思決定を行った資産と同様の趣旨で、通常、当該遊休資産を切り離しても他の資産または資産グループの使用にほとんど影響を与えないため、重要なものについては、他の資産または資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として取り扱います。なお、企業が将来の使用を見込んでいる遊休資産は、その見込みに沿って、グルーピングを行うことになります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第8項)。

処分の意思決定を行った重要な資産や、廃止の意思決定を行った事業に係る重要な資産、将来の使用が見込まれていない重要な遊休資産は、これら同士の将来キャッシュ・フローを合算して減損損失を認識するかどうかの判定を行ったり、減損損失を測定したりしないことに留意しなければなりません(同適用指針第72項また書き)。

資産グループについて認識された減損損失の配分

資産グループについて認識された減損損失は、帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、当該資産グループの各構成資産に配分します(固定資産の減損に係る会計基準二 6.(2))。

なお、各構成資産の時価を考慮した配分等他の方法が合理的であると認められる場合には、当該方法によることができます(固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書四 2(6)②および固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第26項)。

資産グループが複数の建設仮勘定から構成されている場合

資産グループが複数の建設仮勘定から構成されている場合、資産グループについて認識された減損損失は、資産グループの帳簿価額から控除しますが、減損損失の測定時には各建設仮勘定に配分せず、完成時にそれまでの総支出額等の合理的な方法に基づいて配分します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第27項)。



連結財務諸表における資産のグルーピング

連結財務諸表は、企業集団に属する親会社および子会社が作成した個別財務諸表を基礎として作成されますが、連結財務諸表においては、連結の見地から資産のグルーピングの単位が見直される場合があります(固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書四 2.(6)①)。

連結財務諸表で資産のグルーピングの単位が見直されるのは、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の単位の設定等が複数の連結会社(在外子会社を含む。)を対象に行われており、連結財務諸表において、他の資産または資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位が、各連結会社の個別財務諸表における資産のグルーピングの単位と異なる場合です(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第10項)。

そのため、連結財務諸表における資産のグルーピングの単位の見直しは、必ず行わなければならないものではなく、また、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う単位の設定等が複数の連結会社を対象に行われていない場合には見直されません。また、当該見直しは、連結上、固定資産が計上される連結会社が対象であり、持分法が適用されている非連結子会社や関連会社は含まれません(同適用指針第75項)。

連結財務諸表上の修正

連結の見地から資産のグルーピングの単位が見直された場合には、個別財務諸表における減損損失が、連結上、以下のように修正されます(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第75項なお書き)。


  1. 連結財務諸表において計上される減損損失が、個別財務諸表における減損損失の合計額を下回る場合には、当該差額を消去
  2. 連結財務諸表において計上される減損損失が、個別財務諸表における減損損失の合計額を上回る場合には、当該差額を追加

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