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減損損失の測定

減損損失を認識すべきであると判定された資産または資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失とします(固定資産の減損に係る会計基準二 3.)。

企業は、資産または資産グループに対する投資を売却と使用のいずれかの手段によって回収するため、売却による回収額である正味売却価額と、使用による回収額である使用価値のいずれか高い方の金額が固定資産の回収可能価額になります。

回収可能価額の算定

回収可能価額を算定するにあたっては、正味売却価額の算定および使用価値の算定の考え方に基づいて行います(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第25項)。

正味売却価額の算定

正味売却価額は、以下のようにして求められた資産または資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第28項)。


  1. 市場価格が存在する場合には、原則として、市場価格に基づく価額を時価とする。

  2. 市場価格が観察できない場合には、合理的に算定された価額が時価となる。合理的に算定された価額は、市場価格に準ずるものとして、合理的な見積りに基づき、以下のような方法で算定する。

    ①不動産については、「不動産鑑定評価基準」(国土交通省)に基づいて算定する。
    ②その他の固定資産については、コスト・アプローチマーケット・アプローチインカム・アプローチによる見積方法が考えられるが、資産の特性等によりこれらのアプローチを併用または選択して算定する。

  3. 処分費用見込額は、企業が、類似の資産に関する過去の実績や処分を行う業者からの情報などを参考に、現在価値として見積る。

コスト・アプローチ

コスト・アプローチは、同等の資産を取得するのに要するコスト(再調達原価)をもって評価する方法です。例えば、不動産の鑑定評価においては原価法が相当し、この手法による試算価格は積算価格と呼ばれています(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第109項(1))。

マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチは、同等の資産が市場で実際に取引される価格をもって評価する方法です。例えば、不動産の鑑定評価においては取引事例比較法が相当し、この手法による試算価格は比準価格と呼ばれています(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第109項(2))。

インカム・アプローチ

インカム・アプローチは、同等の資産を利用して将来において期待される収益をもって評価する方法です。例えば、不動産の鑑定評価においては収益還元法が相当し、この手法による試算価格は収益価格と呼ばれています。不動産が直接的にキャッシュ・フローを生み出している場合には、当該方法が重視され、具体的には、直接還元法や割引キャッシュ・フロー(DCF)法などがあります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第109項(3))。

重要性が乏しい場合

重要性が乏しい不動産については、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標を、合理的に算定された価額とみなすことができます(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第28項(2)①)。

また、重要性が乏しいその他の固定資産についても、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標を、合理的に算定された価額とみなすことができます(同適用指針第28項(2)②)。

将来時点における正味売却価額を算定する必要がある場合

将来時点(例えば、経済的残存使用年数経過時点)における正味売却価額を算定する必要がある場合には、当該時点以後の一期間の収益見込額をその後の収益に影響を与える要因の変動予測や予測に伴う不確実性を含む当該時点の収益率(最終還元利回り)で割り戻した価額から、処分費用見込額の当該時点における現在価値を控除して算定します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第29項)。

ただし、将来時点における正味売却価額を算定することが困難な場合には、現在の正味売却価額を用いることができます(同適用指針第29項ただし書き)。現在の市場価格や合理的に算定された価額である時価を容易に入手できないときには、現在における一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標を利用して、現在の正味売却価額を算定することができます。

なお、減損損失の認識の判定における割引前将来キャッシュ・フローの総額を見積るにあたって、主要な資産以外の構成資産が償却資産のときには、将来時点の正味売却価額に代えて、現在の当該構成資産の帳簿価額から主要な資産の経済的残存使用年数までの適切な減価額を控除した金額を用いることができます(同適用指針第29項なお書き)。

正味売却価額が外貨建てで見積られる場合

正味売却価額が外貨建てで見積られる場合には、減損損失の認識の判定および測定時の為替相場により円換算します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第30項)。

使用価値の算定

使用価値は、資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値として、以下のように算定します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第31項)。


  1. 資産または資産グループの継続的使用によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローは、将来キャッシュ・フローの定めに基づいて算定する。

  2. 資産または資産グループの使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローは、将来時点の正味売却価額となる。

  3. 「1」および「2」により算定された資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローは、使用価値の算定に際して用いられる割引率の定めに基づいて算定された割引率によって、現在価値に割り引く。

20年経過時点の回収可能価額の算定

減損損失の認識の判定において、割引前将来キャッシュ・フローの総額を見積るにあたり、20年経過時点の回収可能価額を算定する場合、当該時点における使用価値は、20年経過時点以降に見込まれる将来キャッシュ・フローに基づいて、当該時点の現在価値として算定されます(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第32項)。

共用資産のれんに関しても、より大きな単位でグルーピングを行う場合、減損損失を認識するかどうかを判定するために割引前将来キャッシュ・フローの総額を見積るにあたり、これらの経済的残存使用年数が20年を超える場合には、20年経過時点の回収可能価額を、20年目までの割引前将来キャッシュ・フローに加算することとなります。当該時点における回収可能価額の算定も、20年経過時点以降に見込まれる将来キャッシュ・フローに基づいて、当該時点の現在価値として算定されます。

構成資産の回収可能価額の算定

減損損失の認識の判定において、割引前将来キャッシュ・フローの総額を見積るにあたり、主要な資産の経済的残存使用年数経過時点における資産グループ中の主要な資産以外の構成資産の回収可能価額は、原則として、当該時点における構成資産の正味売却価額となります。なお、以下の方法によっても、構成資産の回収可能価額を見積ることが認められています(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第33項)。


  1. 主要な資産の経済的残存使用年数経過後、新たに主要な資産になると考えられる資産の使用に係る合理的な計画が存在している場合には、当該時点における構成資産の正味売却価額に代えて、当該合理的な計画に従って算定した将来キャッシュ・フローの主要な資産の経済的残存使用年数経過時点における現在価値。
  2. 主要な資産以外の構成資産が償却資産のときには、現在の構成資産の帳簿価額から主要な資産の経済的残存使用年数までの適切な減価額を控除した金額。

共用資産やのれんに関しても、より大きな単位でグルーピングを行う場合、減損損失を認識するかどうかを判定するために割引前将来キャッシュ・フローの総額を見積る必要があります。共用資産やのれんの経済的残存使用年数経過時点における他の資産の回収可能価額は、原則として、当該時点における他の資産の正味売却価額となりますが、上記の「1」および「2」の方法で算定することも認められます。

経済的残存使用年数が存在する他の資産の回収可能価額の算定

使用価値を算定する場合、将来キャッシュ・フローを見積る期間経過時点においても、経済的残存使用年数が存在する他の資産について、当該経過時点における回収可能価額は、原則として、当該時点における他の資産の正味売却価額となります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第34項)。

ただし、当該経過時点後に、将来キャッシュ・フローの見積りに用いた資産の使用に係る合理的な計画が存在している場合には、当該時点における他の資産の正味売却価額に代えて、当該合理的な計画に従って算定した将来キャッシュ・フローの当該経過時点における現在価値を用いることが認められます(同適用指針第34項ただし書き)。

将来キャッシュ・フローが外貨建ての場合

使用価値の算定において見積られる将来キャッシュ・フローが外貨建ての場合、外貨建ての将来キャッシュ・フローを、当該通貨に関して使用価値の算定に際して用いられる割引率によって現在価値に割り引き、当該外貨建ての将来キャッシュ・フローの現在価値を減損損失の測定時の為替相場により円換算することにより、使用価値を算定します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第35項)。

ただし、使用価値の算定において見積られる将来キャッシュ・フローの一部のみが外貨建ての場合には、外貨建ての将来キャッシュ・フローを減損損失の測定時の為替相場により円換算し、他の円貨建ての将来キャッシュ・フローと合算した金額を、使用価値の算定に際して用いられる割引率によって現在価値に割り引くことにより、使用価値を算定することが認められます(同適用指針第35項ただし書き)。


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