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現在価値の計算

ここでは、現在価値の計算について、具体例を用いて解説します。

複利現価

例えば、1,000,000円を年利5%の定期預金に預けたとします。

この場合、1年後には、50,000円の利子が受け取れるので、元本と合わせると定期預金は1,050,000円になっています。

  • 1年後の定期預金残高
    =1,000,000円×(1+0.05)=1,050,000円

1年後の定期預金1,050,000円は、元本1,000,000円に5%の利子が上乗せされた金額です。したがって、1年後の定期預金の現在価値は、1年後の定期預金1,050,000円を「1+利子率」で割り引けば求められます。

  • 1年後の定期預金の現在価値
    =1,050,000円/(1+0.05)=1,000,000円

では、3年後の定期預金残高は、どうなっているでしょうか。

定期預金の利子は複利で付くので、2年後の定期預金残高は1年後の定期預金残高に利子が上乗せされています。3年後の定期預金残高も同様に2年後の定期預金残高に利子が上乗せされています。

  • 2年後の定期預金残高
    =1,050,000円×(1+0.05)=1,102,500円
  • 3年後の定期預金残高
    =1,102,500円×(1+0.05)=1,157,625円

このように利子の上にも利子がついていくことを複利といいます。

3年後の定期預金残高1,157,625円は、元本1,000,000円に3年間の利子合計157,625円が上乗せされた金額です。

だから、この3年後の定期預金1,157,625円を現在価値に割り引くには、(1+0.05)で3回割れば良いことになります。

  • 3年後の定期預金1,157,625円の現在価値
    =1,157,625円/(1+0.05)/(1+0.05)/(1+0.05)=1,000,000円

上の式は割り算になっていますが、掛け算になおすと以下のようになります。

定期預金の現在価値の計算式

この計算式にある「0.8638376」は、期間3年、利子5%の場合の複利現価係数です。複利現価係数は、計算するよりも、複利現価表を見れば簡単にわかります。

年金現価

毎年1,000,000円の年金を3年間受け取れる場合の現在価値はいくらになるでしょうか。なお、現在の利子率は5%とします。

この場合、1,000,000円の年金を3回受け取れるので、3,000,000円が3年間で入ってきます。でも、受け取れるのは現在ではありません。

仮に3,000,000円を今受け取って年利5%の定期預金に3年間預ければ3年分の利子が付くので、3年後の定期預金残高は、3,472,875円になっています。

  • 3年後の定期預金残高
    =3,000,000円×(1+0.05)×(1+0.05)×(1+0.05)
    =3,472,875円

これは、3年後の3,472,875円を利子率5%で割り引いた現在価値が3,000,000円であると言えます。

しかし、年金は、1年目から3年目まで毎年1,000,000円ずつ受け取るので、この年金の現在価値は3,000,000円とはなりません。なぜなら、将来受け取るお金には利子がついているからです。

利子率5%で、毎年1,000,000円を3年間に渡って受け取った場合の現在価値は以下の計算から2,723,248円です。

  • 1年後の1,000,000円の現在価値
    =1,000,000円/(1+0.05)
    =952,381円

  • 2年後の1,000,000円の現在価値
    =1,000,000円/(1+0.05)/(1+0.05)
    =907,029円

  • 3年後の1,000,000円の現在価値
    =1,000,000円/(1+0.05)/(1+0.05)/(1+0.05)
    =863,838円

  • 合計
    =952,381円+907,029円+863,838円
    =2,723,248円

このように1年ずつ計算して、3年間に受け取る年金の現在価値を計算するのは手間がかかります。そこで、毎年の現金流出入額が一定の場合には、当該金額に年金現価係数を乗じて現在価値を計算する方が手間を省けます。

年金現価係数の計算式

期間3年、利子率5%の場合の年金現価係数は、2.723248になります。

期間3年、利子率5%の場合の年金現価係数

年額1,000,000円に年金現価係数2.723248を乗ずれば、現在価値は2,723,248円と計算できます。

  • 現在価値=1,000,000円×2.723248=2,723,248円

年金現価係数を毎回計算していたのでは手間がかかりますから、年金現価表を利用するのが便利です。