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収益性指数法(現在価値指数法)による設備投資の経済計算

収益性指数法は、現在価値指数法とも呼ばれ、投資から得られる年々の増分現金流入額の現在価値合計と投資に必要な増分現金流出額の現在価値合計に対する比率で、投資案を評価する方法です。


  • 収益性指数
    =増分現金流入額の現在価値合計/増分現金流出額の現在価値合計×100%

収益性指数が100%よりも大きければ、その投資は有利であり、100%よりも小さければ、その投資は不利と判定します。複数の投資案を比較する場合は、収益性指数が大きい投資案ほど有利となります。

なお、収益性指数法は、DCF法(discounted cash flow method;現金流入割引率法)に属します。

計算例

ここでは、収益性指数法による設備投資の経済計算について、具体的な例を用いて解説します。

計算の前提

甲社では、新たな設備投資を計画しています。

候補として挙がっているのは、投資案Aと投資案Bであり、それぞれの投資額と年々の増分現金流入額を資本コストで割り引いた現在価値は、以下のように見積もられています。

投資案A

  1. 投資額=1,000,000円
  2. 経済命数=3年
  3. 1年目の増分現金流入額の現在価値=363,636円
  4. 2年目の増分現金流入額の現在価値=413,223円
  5. 3年目の増分現金流入額の現在価値=450,789円
  6. 3年後の設備の処分価値=0円

投資案B

  1. 投資額=1,500,000円
  2. 経済命数=3年
  3. 1年目の増分現金流入額の現在価値=636,364円
  4. 2年目の増分現金流入額の現在価値=578,512円
  5. 3年目の増分現金流入額の現在価値=525,921円
  6. 3年後の設備の処分価値=0円

甲社では、収益性指数法により、投資案Aと投資案Bのどちらが有利かを判定しています。

投資案Aの収益性指数

投資案Aの収益性指数を計算するには、年々の増分現金流入額の現在価値合計と投資に必要な増分現金流出額の現在価値合計を計算しなければなりません。

  • 増分現金流入額の現在価値合計
    =363,636円+413,223円+450,789円
    =1,227,648円

  • 増分現金流出額の現在価値合計
    =1,000,000円

したがって、投資案Aの収益性指数は、122.76%になります。

  • 投資案Aの収益性指数
    =1,227,648円/1,000,000円×100%=122.76%

投資案Bの収益性指数

投資案Bの収益性指数も、投資案Aと同じように計算します。

  • 増分現金流入額の現在価値合計
    =636,364円+578,512円+525,921円
    =1,740,797円

  • 増分現金流出額の現在価値合計
    =1,500,000円

したがって、投資案Bの収益性指数は、116.05%になります。

  • 投資案Bの収益性指数
    =1,740,797円/1,500,000円×100%=116.05%

結論

以上より、投資案Aの収益性指数が大きいので、投資案Aを採用すべきです。

正味現在価値法と収益性指数法の比較

上の投資案Aと投資案Bの正味現在価値を計算すると、以下のようになります。

  • 投資案Aの正味現在価値
    =1,227,648円-1,000,000円=227,648円

  • 投資案Bの正味現在価値
    =1,740,797円-1,500,000円=240,797円

収益性指数法では、投資案Aが有利と判定されましたが、正味現在価値法では投資案Bが有利と判定されます。

正味現在価値は絶対額であることから、投資効率を示すものではありません。そのため、投資案の投資効率を把握するために収益性指数を計算します。

正味現在価値が0より大きい場合、収益性指数も100%より大きくなります。

一方、正味現在価値が0より小さい場合、収益性指数も100%より小さくなります。

そのため、投資案の採否については、正味現在価値法も収益性指数法も同じ結論となります。

しかし、上でも見たように正味現在価値の大小と収益性指数の大小は一致しないことがあるので、複数の投資案の順位付けは、正味現在価値法と収益性指数法で異なる結論となる場合があります。

これは、正味現在価値が絶対額であり、収益性指数が比率であるという違いがあるからです。

収益性指数法の長所と短所

収益性指数法は、貨幣の時間価値を考慮した評価方法である点で優れています。また、投資案の投資効率を把握できる長所も持っています。

しかし、収益性指数法や正味現在価値法には、現在価値に割り引く資本コストの決定が困難であること、内部利益率法と同じように完全市場を前提にしていることに批判があります。

このような批判はあるものの、収益性指数法や正味現在価値法といった現在価値法は、設備投資の評価方法として最も理論的な方法であると考えられています。