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有形固定資産の取得原価の決定

有形固定資産の取得形態には、購入、自家建設、現物出資、交換、贈与があります。有形固定資産は、非償却性資産を除き、費用性資産であるため、その取得原価の決定は将来の費用計上額に影響を与えるため重要となります。また、非償却性資産でも、売却時に取得原価が費用となるので、やはり、将来の費用計上額に影響を与えるので、取得原価の決定は重要となります。

購入した場合

有形固定資産を購入した場合は、その購入代金に付随費用を加算した額が取得原価となります。付随費用には、買入手数料、運送費、据付費、試運転費などがあります。購入に際して、値引や割戻を受けた場合は取得原価から控除されます。

自家建設した場合

有形固定資産を自家建設した場合は、適正な原価計算基準に従って算定された製造原価をもって取得原価とします。なお、ここでは適正な原価計算基準の解説は割愛します。

自家建設にあたって資金を借り入れた場合、その借入利息も取得原価に含めるかどうかが問題となりますが、借入利息は、時の経過に伴って発生するものであるから、原則として取得原価には含めず、発生した期間の費用とされます。ただし、建設に要する借入資本の利子であり、固定資産の稼働前の期間に属する利息である場合には、例外的に借入利息を取得原価に算入することも容認されます。

なお、建設中にかかった支出はいったん建設仮勘定に集計し、完成後に機械や備品などの本勘定に振り替えます。

現物出資の場合

株主から固定資産を現物出資された場合には、当該株主に交付した株式数に発行価額を乗じた金額を取得原価とします。なお、現物出資とは、企業が発行した株式に対して、株主が現金以外の財産をもって出資することをいいます。

交換した場合

資産の交換によって固定資産を取得した場合には、譲渡資産の適正な帳簿価額、譲渡資産の時価、譲受資産の時価のいずれかによって取得原価とすることが考えられます。

譲渡資産の適正な帳簿価額を取得原価とする考え方

取得原価主義を前提とすると、交換で取得した固定資産は、譲渡資産の取得原価が基礎となるべきと考えられます。ここで適正な帳簿価額とは、固定資産の譲渡資産から過年度に費用計上した減価償却費の累計額を差し引いた価額をいいます。

譲渡資産の時価を取得原価とする考え方

譲渡資産の時価を取得原価とする考え方は、いったん所有している資産を売却し、その売却代金で新たに固定資産を購入したと仮定します。この考え方では、譲渡資産の時価が帳簿価額を上回る場合には売却益が計上され、時価が帳簿価額を下回る場合には、売却損が計上されることになります。

譲受資産の時価を取得原価とする考え方

資産を購入する場合には、その資産の時価で取得することになるので、取得原価は購入時の時価ということになります。そのため、交換によって固定資産を取得した場合でも、譲受けた資産の時価を取得原価にするのが妥当と考えられます。

「連続意見書第三 第一 四」での取り扱い

「連続意見書第三 第一 四」では、交換によって取得した固定資産の取得原価は、固定資産同士の交換の場合は譲渡資産の適正な帳簿価額とし、自己所有の有価証券と交換に固定資産を取得した場合には譲渡した有価証券の時価を取得原価とする旨の記述があります。

贈与された場合

固定資産を贈与された場合、取得原価をゼロとする考え方と公正な評価額を付すべきとする考え方があります。

取得原価をゼロとする考え方

固定資産を贈与された場合、対価として支払ったものが何もないので、取得原価はゼロとするしかないと考えられます。また、このように会計処理することが、取得原価主義に合致します。

公正な評価額を付すべきとする考え方

取得原価をゼロとすると、保有資産が貸借対照表に計上されず、財政状態を把握することができなくなるので、公正な評価額を付すのが妥当と考えられます。

「連続意見書第三 第一 四」での取り扱い

固定資産を贈与された場合には、時価等を基準として公正に評価した額をもって取得原価とします。また、「企業会計原則第三 五 F」においても、「贈与その他無償で取得した資産については、公正な評価額をもって取得原価とする」と記述されています。

交換や受贈で生じる損益

取得原価主義を前提とした場合、資産の取得や保有からは損益が生じないのが原則です。しかし、交換や受贈によって、取得した資産の評価額を時価などの公正評価額とすると、資産の取得という行為から損益が生じてしまうことになります。

そのため資産を無償で取得した場合に公正評価額を付す会計処理は、取得原価主義の例外と扱われます。

また、資産を交換した場合の取得原価の決定は、交換した資産が同種資産なのか異種資産なのかによって考え方が異なります。

同種資産の交換の場合、譲渡した資産と譲受けた資産は同一の用途で使用されるので、交換の前と後で企業活動の実態に変化はありません。このように考えると、交換という取引が生じたことを理由に帳簿価額を変更するのは妥当と言えません。取得原価主義においては、売却などによって貨幣性資産を受領した時に収益が生じ、投下資本の回収が行われたことになりますが、同種資産の交換では未だ資本の投下過程にあるので収益が生じるのは妥当ではありません。

これに対して、異種資産の交換の場合、譲渡資産と譲受けた資産では、使用目的が異なります。交換の前後で企業活動に変化が生じるので、この場合には、譲渡資産をいったん売却して投下資本を回収し、新たな資産の取得に資本を投下したと考えることができます。有価証券と固定資産を交換した場合に譲渡した有価証券の公正評価額を譲受けた固定資産の取得原価とするのは、この考え方が背景にあります。そのため、交換によって収益が計上されることが許されるのです。


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