棚卸資産の期末評価額
棚卸資産の評価は原則として取得原価で行われます。したがって期末に貸借対照表に計上される棚卸資産の価額は取得原価となります。しかし、棚卸資産の時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復する可能性があると認められる場合を除いて、時価をもって貸借対照表価額としなければなりません。
棚卸評価損
時価が取得原価よりも著しく下落したときに棚卸資産評価額を時価まで引き下げた際、時価と取得原価との差額は棚卸評価損として損益計算書に計上されます。このような評価の切り下げを強制評価減といいます。
商品や製品が傷つく損傷、品質低下、新商品や新技術の登場により従来品の価値が著しく低下する陳腐化が発生した時に棚卸資産の強制評価減を検討することになります。
取得原価と比較される時価は、売却時価となります。ただし、売却時価をそのまま用いるのではなく、当該棚卸資産の処分に必要な費用を売却時価から差し引いた価額が取得原価と比較されます。
低価法評価損
棚卸資産の評価基準には低価法もあります。低価法は、取得原価と時価を比較し、時価が取得原価よりも下回っている場合に時価をもって貸借対照表価額とする方法です。
低価法は取得原価主義の例外と位置づけられ、その論拠は、資産はできるだけ少なく、費用はできるだけ早く計上し財務の健全性を確保するという保守主義にあります。
強制評価減と似ていますが、低価法は時価が取得原価よりも低い場合、回復可能性の有無にかかわらず、棚卸資産評価額を時価まで切り下げる点で異なっています。
棚卸減耗費
棚卸資産の受払を継続記録している場合、期末に実地棚卸を行うと帳簿上の数量よりも実際数量の方が少ないことがあります。少ない理由は帳簿の記入間違いや盗難などがあります。このように帳簿上の在庫よりも実際の在庫の方が少なくなっていることを減耗といい、当該差額は、損益計算書に棚卸減耗費の科目で費用または損失として計上されます。
なお、実務における棚卸資産の評価は、棚卸資産の評価に関する会計基準に従う必要があります。