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最適プロダクト・ミックスの決定

2種以上の製品を製造販売している場合、どのような構成比率で販売すると、利益を最大化できるかを考える必要があります。

例えば、インスタント食品を製造販売している企業があったとします。この企業では、きつねうどんと天ぷらうどんの2種を製造販売しており、きつねうどんの限界利益は40円/個、天ぷらうどんの限界利益は50円/個でした。この場合、利益を最大化するためには、限界利益が高い天ぷらうどんだけを製造販売するのが有利となります。

しかし、機械作業時間が、天ぷらうどんよりも、きつねうどんの方が短い場合には、機械作業時間当たりの限界利益が、きつねうどんの方が有利になることがあります。また、天ぷらうどんの販売市場での需要が少ない場合には、需要を超えて天ぷらうどんを製造しても、在庫が増えるだけで利益になりませんから、天ぷらうどんばかりを製造するわけにはいきません。

このように2種以上の製品を製造販売している企業が、一定の制約条件がある中で、利益を最大化できる製品の組み合わせを最適プロダクト・ミックス(セールス・ミックス)といいます。

最適プロダクト・ミックスの決定問題は、各製品の製造販売活動に共通的な制約条件が単一の場合複数の場合で計算の方法が異なります。

共通的な制約条件が単一の場合

共通的な制約条件が単一の場合は、制約条件1単位当たりの限界利益(貢献利益)が大きい製品を優先的に製造販売するように最適プロダクト・ミックスを決定します。

共通的な制約条件が単一の場合の具体例は以下の通りです。

  1. 販売量が制約条件になっている場合は、販売量1単位当たり限界利益が大きい製品を製造するのが有利。
  2. 売上高が制約条件になっている場合は、売上高1円当たり限界利益(限界利益率)が大きい製品を製造するのが有利。
  3. 機械作業時間が制約条件になっている場合は、機械作業時間1時間当たり限界利益が大きい製品を製造するのが有利。
  4. 材料が不足している場合には、材料1単位当たり限界利益が大きい製品を製造するのが有利。
  5. 労働力が不足している場合には、労働1時間当たり限界利益が大きい製品を製造するのが有利。


共通的な制約条件が複数の場合

共通的な制約条件が複数ある場合には、全ての制約条件を満たして利益が最大になる製品の組み合わせが最適プロダクト・ミックスになります。

この場合、以下の手順でグラフ分析を行い、最適プロダクト・ミックスを決定します。

  1. 問題の定式化
    目的関数と制約条件(非負条件を含む)を1次式によって表す。

  2. グラフの作成
    グラフ上に全ての制約条件を満たす領域を示す。

  3. 最適解の決定
    可能域内の各端点における目的関数の値を計算し最大値を求める。または、目的関数の勾配と制約式の勾配を比較する。

このようにいくつかの線型的な条件のもとで、線型関数の最大値、あるいは最小値を求める技法を線形計画法(リニア・プログラミング、LP)といいます。

製造販売する製品が2種類の場合には、グラフ分析(図解法)で最適プロダクト・ミックスを導くことができます。しかし、2種類以上の製品を製造販売している場合には、一般的にシンプレックス法を用いて最適プロダクト・ミックスを求めます。