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等級別総合原価計算(インプット段階で原価要素群別に等価係数を適用する方法)の計算例

ここでは、インプット段階で原価要素群別に等価係数を適用して等級製品の完成品原価を計算する等級別総合原価計算の計算方法を具体例を用いて解説します。

計算の前提

甲社は、等級別総合原価計算を実施しています。なお、甲社では、原価要素を投入する時点で原価要素群別に等価係数を適用して等級製品別の原価を区分し、各等級製品の総原価を単純総合原価計算の手続によって算定しています。

期首仕掛品

各等級製品の期首仕掛品のデータは以下の通りです。

A製品

  1. 数量=120個
  2. 加工進捗度=30%
  3. 直接材料費=2,056円
  4. 加工費=1,080円

B製品

  1. 数量=200個
  2. 加工進捗度=40%
  3. 直接材料費=3,700円
  4. 加工費=970円

当期投入

  1. A製品の数量=1,600個
  2. B製品の数量=2,300個
  3. 直接材料費=68,800円
  4. 加工費=89,160円

材料は工程の始点ですべて投入します。

期末仕掛品の評価には平均法を採用しています。

期末仕掛品

各等級製品の期末仕掛品のデータは以下の通りです。

A製品

  1. 数量=180個
  2. 加工進捗度=70%

B製品

  1. 数量=240個
  2. 加工進捗度=50%

減損

減損はすべて正常なもので、加工中に平均的に発生します。各等級製品の減損数量は以下の通りです。

  1. A製品=40個
  2. B製品=60個

減損は、非度外視法で処理します。

完成品

各等級製品の完成品数量は以下の通りです。

  1. A製品=1,500個
  2. B製品=2,200個

等級製品の等価係数は、以下の通りです。

直接材料費

  1. A製品=1.0
  2. B製品=0.8

加工費

  1. A製品=1.0
  2. B製品=0.6

数量関係の把握

総合原価計算では、T勘定を作成して数量関係を把握するのが便利です。T勘定の作成では、まず貸方の数量を記入し、その後に借方の期首仕掛品数量を記入して、当期投入数量を計算します。なお、T勘定の赤字は、数量に加工進捗度を乗じた完成品換算量です。


A製品のT勘定の作成
B製品のT勘定の作成

当期製造費用の案分

数量関係を把握した後は、当期製造費用の直接材料費と加工費を各等級製品に案分します。

直接材料費の案分

A製品とB製品への直接材料費の案分は、数量に等価係数を乗じた積数を基準に行います。

  • A製品の積数=1,600個×1.0=1,600
  • B製品の積数=2,300個×0.8=1,840
  • 積数合計=1,600+1,840=3,440

次に積数単位原価を計算し、各等級製品の積数に乗じて、それぞれの直接材料費を算定します。

  • 積数単位原価=68,800円/3,440=20円
  • A製品の直接材料費=20円×1,600=32,000円
  • B製品の直接材料費=20円×1,840=36,800円

加工費の案分

加工費の案分も基本的に直接材料費と同じです。ただし、積数を計算する時の数量は、加工進捗度を加味した完成品換算量であることに注意しなければなりません。

  • A製品の積数=1,610個×1.0=1,610
  • B製品の積数=2,270個×0.6=1,362
  • 積数合計=1,610+1,362=2,972

次に積数単位原価を計算し、各等級製品の加工費を算定します。

  • 積数単位原価=89,160円/2,972=30円
  • A製品の加工費=30円×1,610=48,300円
  • B製品の加工費=30円×1,362=40,860円

A製品の原価計算表の作成

当期製造費用を各等級製品に案分した後は原価計算表を作成し、完成品原価と期末仕掛品原価を計算します。

A製品の原価計算表は以下の通りです。


A製品の原価計算表

直接材料費

直接材料費の期末仕掛品原価を計算する際の平均単価は、期首仕掛品数量と当期投入数量の合計で、期首仕掛品原価と当期製造費用の合計額を除して算定します。

  • 数量=120個+1,600個=1,720個
  • 金額=2,056円+32,000円=34,056円
  • 平均単価=34,056円/1,720個=19.8円

したがって、減損は792円、期末仕掛品原価は3,564円、完成品原価は29,700円になります。

  • 減損=19.8円×40個=792円
  • 期末仕掛品原価=19.8円×180個=3,564円
  • 完成品原価=34,056円-792円-3,564円=29,700円

加工費

加工費の計算も基本的に直接材料費と同じです。ただし、数量は、加工進捗度を加味した完成品換算量であることに注意しなければなりません。

  • 数量=36個+1,610個=1,646個
  • 金額=1,080円+48,300円=49,380円
  • 平均単価=49,380円/1,646個=30.0円

したがって、減損は600円、期末仕掛品原価は3,780円、完成品原価は45,000円になります。

  • 減損=30.0円×20個=600円
  • 期末仕掛品原価=30.0円×126個=3,780円
  • 完成品原価=49,380円-600円-3,780円=45,000円

減損の追加配賦

減損は平均的に発生するので、期末仕掛品と完成品の両方に負担させます。なお、計算に用いる数量は、加工進捗度を加味した完成品換算量です。

  • 減損
    =792円+600円=1,392円
  • 期末仕掛品への配賦額
    =1,392円/(126個+1,500個)×126個=108円
  • 完成品への配賦額
    =1,392円/(126個+1,500個)×1,500個=1,284円

期末仕掛品原価と完成品原価

以上より、期末仕掛品原価は7,452円、完成品原価は75,984円、完成品単位原価は50.656円です。

  • 期末仕掛品原価=3,564円+3,780円+108円=7,452円
  • 完成品原価=29,700円+45,000円+1,284円=75,984円
  • 完成品単位原価=75,984円/1,500個=50.656円

B製品の原価計算表の作成

B製品もA製品と同じように原価計算表を作成し、期末仕掛品原価と完成品原価を計算します。


B製品の原価計算表

直接材料費

直接材料費の期末仕掛品原価を計算する際の平均単価は、期首仕掛品数量と当期投入数量の合計で、期首仕掛品原価と当期製造費用の合計額を除して算定します。

  • 数量=200個+2,300個=2,500個
  • 金額=3,700円+36,800円=40,500円
  • 平均単価=40,500円/2,500個=16.2円

したがって、減損は972円、期末仕掛品原価は3,888円、完成品原価は35,640円になります。

  • 減損=16.2円×60個=972円
  • 期末仕掛品原価=16.2円×240個=3,888円
  • 完成品原価=40,500円-972円-3,888円=35,640円

加工費

加工費の計算も基本的に直接材料費と同じです。ただし、数量は、加工進捗度を加味した完成品換算量であることに注意しなければなりません。

  • 数量=80個+2,270個=2,350個
  • 金額=970円+40,860円=41,830円
  • 平均単価=41,830円/2,350個=17.8円

したがって、減損は534円、期末仕掛品原価は2,136円、完成品原価は39,160円になります。

  • 減損=17.8円×30個=534円
  • 期末仕掛品原価=17.8円×120個=2,136円
  • 完成品原価=41,830円-534円-2,136円=39,160円

減損の追加配賦

減損は平均的に発生するので、期末仕掛品と完成品の両方に負担させます。なお、計算に用いる数量は、加工進捗度を加味した完成品換算量です。

  • 減損
    =972円+534円=1,506円
  • 期末仕掛品への配賦額
    =1,506円/(120個+2,200個)×120個=78円
  • 完成品への配賦額
    =1,506円/(120個+2,200個)×2,200個=1,428円

期末仕掛品原価と完成品原価

以上より、期末仕掛品原価は6,102円、完成品原価は76,228円、完成品単位原価は34.649円です。

  • 期末仕掛品原価=3,888円+2,136円+78円=6,102円
  • 完成品原価=35,640円+39,160円+1,428円=76,228円
  • 完成品単位原価=76,228円/2,200個=34.649円