HOME > 標準原価計算 >

 

原価差異の把握方法

標準原価計算制度における原価差異とは、標準原価と実際原価との間に生ずる差額のことです。

原価計算基準44では、実際原価計算制度における原価差異と標準原価計算制度における原価差異を以下のように規定しています。

原価差異とは、実際原価計算制度において、原価の一部の予定価格等をもって計算した場合における原価と実際発生額との間に生ずる差額、ならびに標準原価計算制度において、標準原価と実際発生額との間に生ずる差額(これを「標準差異」となづけることがある。)をいう。

原価差異を算定記録し、分析する目的には、以下の2つがあります。

  1. 原価差異を財務会計上適正に処理して製品原価および損益を確定する
  2. 原価差異の分析結果を各階層の経営管理者に提供し、原価管理に役立てる

インプット法とアウトプット法

原価差異は、実際原価と標準原価との差額として把握されます。この原価差異の把握方法には、インプット法アウトプット法の2種類があります。

インプット法

インプット法は、原価財の投入時に原価差異を把握する方法です。

原価管理の有効性を高めるためには、原価財を投入するたびに速やかに把握し、発生原因を明らかにするのが望ましいです。インプット法によれば、実際産出量が判明する前に原価差異の把握が可能なので、原価管理上優れた方法です。

しかし、インプット法では、原価財が投入されるたびに原価差異を把握しなければならないので、事務処理に手間がかかるという欠点があります。

直接材料費差異の把握

直接材料費差異には、数量差異価格差異があります。

数量差異は、材料の出庫に際して標準消費量を出庫しておきます。標準消費量を超過する材料消費があった場合には、その理由を記載した超過材料出庫票を発行して、超過消費数量を把握します。また、実際消費量が標準消費量未満の場合には、その理由を材料戻入票に記載し、戻入数量を把握します。

価格差異は、仕入の都度、または出庫の都度、標準価格と実際価格を比較して把握します。

直接労務費差異の把握

直接労務費差異には、作業時間差異賃率差異があります。

作業時間差異は、実際の直接作業時間が標準作業時間を超過した時、または節約できた時にその理由を記載した作業時間報告書を発行し、当該超過時間または節約時間に標準賃率を乗じて把握します。

賃率差異は、通常、原価計算期末に一括で把握します。

製造間接費差異

製造間接費差異は、原価計算期末に一括で把握されます。ただし、能率差異はインプット法で把握することも可能です。

アウトプット法

アウトプット法は、一定期間における実際産出量が判明した後に原価差異を把握する方法です。

アウトプット法は、インプット法よりも事務処理の手間がかからない利点があります。しかし、原価財の投入段階で原価差異を把握せず、一定期間における総額として原価差異を把握するため、その発生原因を明らかにできず、原価管理に不向きであるという欠点を持っています。

アウトプット法による原価差異の把握

アウトプット法では、一定期間の実際産出量に製品1単位当たりの標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費を乗じて、その期間の標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費を求め、それらを実際直接材料費、実際直接労務費、実際製造間接費と比較して原価差異を把握します。

計算式は以下の通りです。

  1. 直接材料費差異
    =(実際産出量×単位当たり標準直接材料費)-実際直接材料費
  2. 直接労務費差異
    =(実際産出量×単位当たり標準直接労務費)-実際直接労務費
  3. 製造間接費差異
    =(実際産出量×単位当たり標準製造間接費)-実際製造間接費

アウトプット法では、一定期間の総額として標準原価と実際原価が比較され、原価差異が把握されることになります。