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販売費および一般管理費の計算

販売費は、製品の販売のために直接関連する費用のことです。また、一般管理費は、企業の一般管理活動から生じた費用のことで、広くは研究活動まで含みます。

なお、販売費および一般管理費は、営業費とも呼ばれています。

製造原価との違い

販売費および一般管理費は、売上のために貢献する経済的犠牲という点では製造原価と同じです。

しかし、販売費および一般管理費は、その発生の態様から製造原価とは、以下の点で異なっています。

  1. 期間原価である
  2. 固定費が多い
  3. 努力と成果との関係がわかりにくい
  4. 利益増大を目的とする

期間原価である

販売費および一般管理費は、多くの場合、期間原価として扱われます。そのため、損益計算書上では、売上高から発生額を一括で控除します。

費用収益対応の原則から見れば、製造原価は売上高と個別的に対応するのに対して、販売費および一般管理費は売上高と期間的に対応します。

固定費が多い

販売費および一般管理費は、製造原価と比較して変動費が少なく、固定費が多い特徴があります。

多くの場合、営業活動は人的であり、かつ非反復的活動であることから、変動費の割合が小さくなります。

努力と成果との関係がわかりにくい

販売費および一般管理費は、製造原価ほどは努力と成果との関係が明確ではありません。そのため、販売費および一般管理費は、標準原価計算を適用しても製造原価と同じような効果を得られません。

利益増大を目的とする

製造原価は発生額の引き下げに焦点を当てて管理します。

ところが、販売費および一般管理費は、売上を増やすために費消するものであり、原価の引き下げよりも利益増大に効果があるかに焦点を当てて管理します。

販売費および一般管理費の分類基準

原価計算基準37では、販売費および一般管理費の要素を形態別分類、機能別分類、直接費と間接費、固定費と変動費、管理可能費と管理不能費に分類しています。

販売費および一般管理費の要素を分類する基準は、次のようである。
(一)形態別分類
販売費および一般管理費の要素は、この分類基準によって、たとえば、給料、賃金、消耗品費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕料、電力料、租税公課、運賃、保管料、旅費交通費、通信費、広告料等にこれを分類する。
(二)機能別分類
販売費および一般管理費の要素は、この分類基準によって、たとえば、広告宣伝費、出荷運送費、倉庫費、掛売集金費、販売調査費、販売事務費、企画費、技術研究費、経理費、重役室費等にこれを分類する。
この分類にさいしては、当該機能について発生したことが直接的に認識される要素を、は握して集計する。たとえば広告宣伝費には、広告宣伝係員の給料、賞与手当、見本費、広告設備減価償却費、新聞雑誌広告料、その他の広告料、通信費等が集計される。
(三)直接費と間接費
販売費および一般管理費の要素は、販売品種等の区別に関連して、これを直接費と間接費とに分類する。
(四)固定費と変動費
(五)管理可能費と管理不能費

販売費および一般管理費の要素の分類は、製造原価要素の分類基準とほぼ同じです。

直接費と間接費に分類する場合、販売品種や販売地域などのセグメント別に販売費および一般管理費の要素を分類します。セグメント別に直接認識される直接費は、各セグメントに集計する際、賦課の手続を行います。一方、セグメントに共通して発生する販売費および一般管理費は間接費となり、売上高等を基準に各セグメントに配賦の手続を行います。

計算方法

原価計算基準38では、販売費および一般管理費の計算について以下のように規定しています。

販売費および一般管理費は、原則として、形態別分類を基礎とし、これを直接費と間接費とに大別し、さらに必要に応じ機能別分類を加味して分類し、一定期間の発生額を計算する。その計算は製造原価の費目別計算に準ずる。

販売費および一般管理費は、その要素を形態別に分類し、これを直接費と間接費に大別します。

直接費と間接費に大別した後は、上でも述べたように直接費は賦課、間接費は配賦の手続を行います。

また、必要に応じて機能別分類も加味します。

なお、販売費および一般管理費の実際原価は、一定期間の発生額を費目別に計算し、その計算方法は製造原価の費目別計算に準じます。

技術研究費

原価計算基準39では、技術研究費について以下のように規定しています。

新製品又は新技術の開拓等の費用であって企業全般に関するものは、必要ある場合には、販売費および一般管理費と区別して別個の項目として記載することができる。

原価計算基準では、「技術研究費を新製品又は新技術の開拓等の費用であって企業全般に関するもの」としています。すなわち、技術研究費は、新製品や新技術の開拓という機能に基づいて分類集計したものと言えます。

当該技術研究費は、販売費および一般管理費とは別個の項目として損益計算書に記載することができます。