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公式法変動予算による製造間接費の差異分析(標準作業時間を基準にした3分法)の計算例

ここでは、公式法変動予算による製造間接費の差異分析を標準作業時間を基準にした3分法で行う場合の計算方法を具体例を用いて解説します。

計算の前提

甲社は、標準原価計算を採用しています。

製造間接費は公式法による変動予算で管理しており、製造間接費差異は、標準作業時間を基準に予算差異、能率差異、操業度差異に分析しています。

製造間接費の配賦基準は機械作業時間であり、基準操業度における機械作業時間は3,000時間です。

製造間接費予算

製造間接費予算は以下の通りです。

固定費

  1. 消耗品費=10,000円
  2. 監督者給料=60,000円
  3. 減価償却費=150,000円
  4. 賃借料=50,000円
  5. 保険料=30,000円
  6. 合計=300,000円

変動費率

  1. 補助材料費=20円/時間
  2. 間接工賃金=50円/時間
  3. その他=10円/時間
  4. 合計=80円/時間

製造間接費実際発生額

固定費

  1. 消耗品費=12,000円
  2. 監督者給料=65,000円
  3. 減価償却費=150,000円
  4. 賃借料=50,000円
  5. 保険料=30,000円
  6. 合計=307,000円

変動費

  1. 補助材料費=57,000円
  2. 間接工賃金=145,000円
  3. その他=36,000円
  4. 合計=238,000円

当期の実際機械作業時間は2,800時間、標準機械作業時間は2,650時間です。

製造間接費の差異分析

製造間接費の差異分析を行う場合、まず、基準操業度における標準配賦率を計算しなければなりません。

標準配賦率は固定費率と変動費率の合計です。変動費率は80円/時間とわかっているので、固定費予算額を基準操業度で除して固定費率を求めた後、変動費率と固定費率を合計して標準配賦率を算定します。

  • 固定費率=300,000円/3,000時間=100円/時間
  • 標準配賦率=100円/時間+80円/時間=180円/時間

製造間接費差異は、標準配賦額と実際発生額の差として計算します。

  • 製造間接費差異
    =180円×2,650時間-(307,000円+238,000円)
    =-68,000円(不利差異)

製造間接費の差異分析を行う場合、以下のような図を作成するのが便利です。


公式法変動予算の差異分析

予算差異

予算差異は、以下の計算式で計算します。

  • 予算差異
    =(変動費率×実際作業時間+固定費予算額)-実際発生額

したがって、予算差異は-21,000円(不利差異)になります。

  • 予算差異
    =(80円×2,800時間+300,000円)-(307,000円+238,000円)
    =-21,000円(不利差異)

能率差異

能率差異は、以下の計算式で計算します。

  • 能率差異
    =変動費率×(標準作業時間-実際作業時間)

したがって、能率差異は-12,000円(不利差異)になります。

  • 能率差異
    =80円×(2,650時間-2,800時間)
    =-12,000円(不利差異)

操業度差異

操業度差異は、以下の計算式で計算します。

  • 操業度差異
    =固定費率×(標準作業時間-基準操業度)

したがって、操業度差異は-35,000円(不利差異)になります。

  • 操業度差異
    =100円×(2,650時間-3,000時間)
    =-35,000円(不利差異)