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一括調整法による原価差異の追加配賦

ここでは、原価差異を一括調整法で、売上原価と期末棚卸資産に追加配賦する方法を計算例を用いて解説します。

計算の前提

甲社は、標準原価計算を採用しています。

当期に発生した原価差異は、比較的多額であったため、売上原価と棚卸資産に追加配賦します。

原価差異の追加配賦は、総括配賦率を用いた一括調整法で行います。

原価差異発生額

当期の原価差異の発生額は、以下の通りでした。

  1. 材料受入価格差異=-5,000円(不利差異)
  2. 数量差異=-10,000円(不利差異)
  3. 賃率差異=12,000円(有利差異)
  4. 作業時間差異=-20,000円(不利差異)
  5. 予算差異=-30,000円(不利差異)
  6. 能率差異=-5,000円(不利差異)
  7. 操業度差異=-13,000円(不利差異)
  8. 原価差異合計=-71,000円(不利差異)

材料の受払

当期の材料の受払のデータは以下の通りです。

  1. 期首材料=2,000kg
  2. 当期仕入=25,000kg
  3. 当期払出=24,000kg
  4. 期末材料=3,000kg

材料の払出は先入先出法で行っています。

期首材料棚卸高に含まれる材料受入価格差異は-400円(不利差異)です。

仕掛品

当期の仕掛品のデータは以下の通りです。

  1. 期首仕掛品=0円
  2. 当期投入=1,000,000円
  3. 当期完成=950,000円
  4. 期末仕掛品=50,000円

製品

当期の製品のデータは以下の通りです。

  1. 期首製品=0円
  2. 当期完成=950,000円
  3. 売上原価=880,000円
  4. 期末仕掛品=70,000円

原価差異の追加配賦

原価差異の追加配賦は、総括配賦率を用いて行います。

ただし、材料受入価格差異については、まず当期の払出高と期末在高に追加配賦しなければなりません。

材料受入価格差異

材料の払出は先入先出法で計算しているので、期末材料に配賦される材料受入価格差異は-600円(不利差異)になります。

  • 期末在高への追加配賦額
    =-5,000円/25,000kg×3,000kg=-600円

期首材料に含まれる材料受入価格差異が-400円(不利差異)なので、売上原価、期末仕掛品、期末製品に追加配賦する材料受入価格差異(材料消費価格差異)は-4,800円(不利差異)になります。

  • 材料消費価格差異
    =-400円+(-5,000円)-(-600円)=-4,800円

追加配賦する原価差異合計

追加配賦する原価差異は、原価差異合計額から材料受入価格差異を控除し、材料消費価格差異を加算した金額となります。

  • 追加配賦する原価差異合計
    =-71,000円-(-5,000円)+(-4,800円)=-70,800円

総括配賦率の計算

総括配賦率は、以下の計算式で求めます。

  • 総括配賦率
    =原価差異/(期末仕掛品、期末製品、売上原価の標準原価合計)

したがって、総括配賦率は0.0708円になります。

  • 総括配賦率
    =70,800円/(50,000円+70,000円+880,000円)=0.0708円

期末仕掛品、期末製品、売上原価の合計額

以上より、期末仕掛品、期末製品、売上原価の原価差異追加配賦後の金額は以下のようになります。

  • 期末仕掛品=50,000円+(50,000円×0.0708円)=53,540円
  • 期末製品=70,000円+(70,000円×0.0708円)=74,956円
  • 売上原価=880,000円+(880,000円×0.0708円)=942,304円