重要な権利ではない自社ポイントを顧客に付与した場合の会計処理
ここでは、重要な権利ではない自社ポイントを顧客に付与した場合の会計処理について、具体例を用いて解説します。
前提条件
- 甲社(3月決算会社)は、甲社が運営する店舗で顧客が買い物をするたびにポイントを付与しています。ポイントの付与率は100円につき1ポイントです。顧客は、300ポイント貯めると甲社のオリジナルグッズを購入することができます。
- オリジナルグッズの独立販売価格は3,000円です。顧客は300ポイントを使うごとにオリジナルグッズを3,000円で購入できます。
- 甲社が顧客に付与するポイントは、追加の財またはサービスを取得するオプションであり、顧客は独立販売価格を反映する価格でオリジナルグッズを取得することから、顧客に重要な権利を提供するものではないと判断しました(収益認識に関する会計基準の適用指針第49項)。
- ポイントの有効期限は、ポイントを付与した日の1年後の月末です。なお、ポイントの失効率は10%と見積もっています。
- x1年7月9日に顧客が甲社の運営する店舗で商品を30,000円購入しました。対価は現金で受け取っています。顧客に付与したポイントは300ポイントです。
- x1年8月3日に顧客が300ポイントを行使したので、オリジナルグッズを3,000円で販売し、対価を現金で受け取りました。顧客に付与したポイントは30ポイントです。
会計処理
履行義務の識別と取引価格の配分
甲社は、顧客に対して100円の買い物につき1ポイントを付与しています。当該ポイントは、300ポイント貯めるとオリジナルグッズを購入できるオプションであり、甲社は契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利(収益認識に関する会計基準の適用指針第48項)ではないと判断しています。したがって、当該ポイントから甲社に履行義務は生じないので、取引価格をポイントに配分しません。
x1年7月9日
顧客に販売した商品30,000円について収益を認識します。
x1年8月3日
顧客がオプションを行使し、オリジナルグッズを3,000円で購入したので収益を認識します。