収益認識に関する会計基準の基本となる原則
収益認識に関する会計基準第16項では、基本となる原則が定められています。
本会計基準の基本となる原則は、約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益を認識することである。
収益を認識するための5つのステップ
上記の基本となる原則に従って収益を認識するために同会計基準17項では、以下の5つのステップを適用することと規定しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
収益認識に関する会計基準の定めは、顧客と合意し、かつ、所定の要件を満たす契約に適用します。
ステップ2:契約における履行義務を識別する
契約において顧客への移転を約束した財またはサービスが、所定の要件を満たす場合には別個のものであるとして、当該契約を履行義務として識別します。
ステップ3:取引価格を算定する
変動対価または現金以外の対価の存在を考慮し、金利相当部分の影響および顧客に支払われる対価について調整を行い、取引価格を算定します。
ステップ4:契約における履行義務に取引価格を配分する
契約において約束した別個の財またはサービスの独立販売価格の比率に基づき、それぞれの履行義務に取引価格を配分します。独立販売価格を直接観察できない場合には、独立販売価格を見積ります。
ステップ5:履行義務を充足した時にまたは充足するにつれて収益を認識する
約束した財またはサービスを顧客に移転することにより履行義務を充足した時にまたは充足するにつれて、充足した履行義務に配分された額で収益を認識します。履行義務は、所定の要件を満たす場合には一定の期間にわたり充足され、所定の要件を満たさない場合には一時点で充足されます。
上記5つのステップを図示すると以下のようになります(参考:収益認識に関する会計基準の適用指針の設例1)
適用される契約
収益認識に関する会計基準は、第18項で、顧客との個々の契約を対象として適用されることが規定されています。
ただし、重要性の観点から、複数の特性の類似した契約または履行義務から構成されるグループ全体を対象として収益認識に関する会計基準を適用することができます。この場合、財務諸表上の影響が、当該グループの中の個々の契約または履行義務を対象として適用することによる影響と比較して重要性のある差異を生じさせないことが合理的に見込まれる必要があります。
なお、グループ全体を対象として収益認識に関する会計基準を適用する際は、当該グループの規模および構成要素を反映する見積りおよび仮定を用います。