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見積原価が変更された場合の会計処理

ここでは、見積原価が変更された場合の会計処理について、具体例を用いて解説します。

前提条件

  1. 建設会社の甲社(3月決算会社)は、x1年4月1日に乙社(顧客)との間で、乙社の所有する土地に商業ビルを建設する契約を締結しました。契約における固定対価は、800,000千円です。

  2. 契約における取引開始日の甲社の見積工事原価は480,000千円です。

  3. 甲社は、乙社が建設中の建物を支配しており、約束した財またはサービスの束を一定の期間にわたり充足される単一の履行義務として処理するものと判断しました。また、発生した原価を基礎としたインプットに基づき、履行義務の充足に係る進捗度を適切に見積ることができると判断しました。

  4. x1年度末までに発生した原価は144,000千円でした。

  5. x2年度において、見積工事原価に変更が生じ、540,000千円となりました。

  6. x2年度において発生した原価は180,000千円でした。

  7. 甲社では、発生した原価は、いったん未成工事支出金勘定に集計し、決算日に売上原価に振り替えることにしています。

会計処理

x1年度末

x1年度末の工事進捗度は、以下の計算式から30%になります。


  • 工事進捗度
    =期末までの発生原価/見積工事原価×100%
    =144,000千円/480,000千円×100%=30%

x1年度末に認識する収益は、契約価格に工事進捗度を乗じた240,000千円になります。


  • 工事収益
    =800,000千円×30%=240,000千円

収益と原価の関係を図示すると以下のようになります。

x1年度末の収益と原価の関係

x1年度末の会計処理は以下の通りです。

x1年度末の会計処理

x2年度末

見積原価変更後の工事進捗度

x2年度末に見積工事原価に変更があったので、変更後の見積工事原価に基づいて工事進捗度を計算します。


  • 工事進捗度
    =x2年度末までの発生原価/見積変更後の工事原価×100%
    (144,000千円+180,000千円)/540,000千円×100%=60%

x2年度の工事収益

x2年度の工事収益は、取引価格に見積原価変更後の工事進捗度を乗じた金額からx1年度に認識した工事収益を差し引いた240,000千円になります。


  • 工事収益
    =800,000千円×60%-240,000千円=240,000千円

x2年度の収益と原価の関係を図示すると以下のようになります。

x2年度の収益と原価の関係

x2年度末の会計処理は以下の通りです。

x2年度末の会計処理