顧客が他社ポイントを使って買い物をした場合の会計処理

ここでは、顧客が他社ポイントを使って買い物をした場合の会計処理について、具体例を用いて解説します。

前提条件

甲社（3月決算会社）は、甲社が運営する店舗で顧客が買い物をするたびにT社が発行しているポイント（他社ポイント）を付与しています。T社ポイントの付与率は100円につき1ポイントです。顧客は、次回以降の買い物の際にT社ポイントを使用することができ、1ポイント当たり1円の値引きを受けられます。また、T社ポイントは、T社ポイント・プログラムに参加している企業の店舗でも使用可能です。

T社ポイントは、甲社から見て契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するものではないと判断し、甲社は、顧客へのT社ポイントの付与により履行義務が生じないと結論づけました（収益認識に関する会計基準の適用指針第48項）。

T社ポイントの有効期限は、T社ポイントを付与した日の1年後の月末です。ただし、T社ポイントの有効期限は、ポイントの付与、ポイントの使用、買い物のいずれかがあった日から自動的に1年後の月末に延長されます。なお、T社ポイントの失効率は1%と見積もっています。

甲社は、顧客が使用したT社ポイントについて、翌月15日にT社から支払いを受けます。また、顧客にT社ポイントを付与した翌月末にT社に対して付与したT社ポイント分の代金を支払います。

x1年7月1日に顧客が甲社の運営する店舗で商品を15,000円購入しました。対価は現金で14,000円、T社ポイント1,000ポイント（1,000円相当）で受け取っています。顧客に付与したT社ポイントは140ポイント（140円相当）です。

x1年8月15日に甲社は、顧客から受け取ったT社ポイント1,000ポイント（1,000円相当）について、T社から銀行振込で支払いを受けました。

x1年8月31日に甲社は、顧客に付与したT社ポイント140ポイントについて、T社に140円を支払いました。

会計処理

x1年7月1日

顧客から受け取った代金14,000円とT社ポイント1,000ポイント（1,000円相当）の合計15,000円を商品と新たに付与するT社ポイント140ポイントに配分します。

顧客から受け取ったT社ポイント1,000ポイント（1,000円相当）については、T社から支払いを受けるので未収入金に計上します。また、顧客に新たに付与したT社ポイント140ポイント（140円相当）については、第三者のために回収する額（収益認識に関する会計基準第47項）に該当するので取引価格から除外します。