ポイントを販促品と交換した場合の会計処理
ここでは、ポイントを販促品と交換した場合の会計処理について、具体例を用いて解説します。
前提条件
- 甲社(3月決算会社)は、甲社が運営する店舗で顧客が買い物をするたびにポイントを付与しています。ポイントの付与率は100円につき1ポイントです。顧客は、次回以降の買い物の際にポイントを使用することができ、1ポイント当たり1円の値引きを受けられます。また、500ポイント単位で、甲社のオリジナルグッズと交換することもできます。
- 当該ポイントは、契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するものであるため、甲社は、顧客へのポイントの付与により履行義務が生じると結論づけました(収益認識に関する会計基準の適用指針第48項)。
- ポイントの有効期限は、ポイントを付与した日の3年後の月末です。なお、ポイントの失効率は3%と見積もっています。
- 甲社のオリジナルグッズは、店頭で販売している商品と同じ機能を有していますが、甲社のブランドロゴが印刷されています。また、通常品の販売価格は500円であり、オリジナルグッズの交換に必要な500ポイントと同額と判断しています。そのため、甲社では、当該オリジナルグッズは、収益認識に関する会計基準第8項の企業の通常の営業活動により生じたアウトプットである財またはサービスに該当すると結論付けています。
- x1年4月9日に顧客に商品を70,000円で販売し、700ポイントを付与しました。対価は現金で受け取っています。
- x1年4月25日に顧客が500ポイントをオリジナルグッズと交換しました。
会計処理
x1年4月9日
顧客から受け取った対価70,000円を商品とポイントの独立販売価格の比率で配分します。
ポイントの独立販売価格の計算
顧客に付与したポイントは700ポイント(700円相当)、ポイント失効率は3%なので、以下の計算よりポイントの独立販売価格は679円になります。
- ポイントの独立販売価格
=付与したポイントの価格×(1-失効率)
=700円×(1-0.03)
=679円
取引価格を商品とポイントに配分
以下の計算より、対価70,000円を商品に69,328円、ポイントに672円配分します。
- 商品
=70,000円×70,000円/(70,000円+679円)
=69,328円 - ポイント
=70,000円×679円/(70,000円+679円)
=672円
上記の計算を表にすると以下の通りです。
仕訳
商品69,328円について収益を認識し、ポイント672円について契約負債を認識します。
x1年4月9日の会計処理は以下の通りです。
x1年4月25日
販促品に交換した500ポイントに対応する契約負債は以下の計算より495円です。
- 契約負債の取崩額
=使用ポイント/使用を見込むポイント総数×契約負債総額
=500ポイント/(700ポイント×(1-0.03))×672円
=495円
したがって、契約負債495円を売上高に振り替えます。