企業結合が取得とされた場合の会計処理の具体例
ここでは、企業結合が取得とされた場合の会計処理について具体例を用いて解説します。
前提条件
- 公開会社の甲社(3月決算会社)と公開会社の乙社(3月決算会社)は、吸収合併存続会社を甲社、吸収合併消滅会社を乙社として合併に合意しました。
- 合併期日(企業結合日)はx2年4月1日です。
- 乙社株主に対して割り当てる甲社の株式数は20株です。
- 当該企業結合は取得とされ、取得企業は甲社とします。
- 合併期日(企業結合日)における甲社の株価は1株50千円です。
- 合併期日(企業結合日)の前日における乙社の貸借対照表に計上されている資産の合計額は800千円、負債の合計額は300千円です。
- 合併期日(企業結合日)における乙社の識別可能資産の時価は1,000千円です。負債の時価は乙社の帳簿価額と一致しており300千円を引き継ぎます。
会計処理
個別財務諸表上の会計処理
取得原価の算定
本事例では、甲社が取得企業となります。
甲社の取得の対価は、甲社の株式なので、企業結合日における甲社株式の時価により算定します(企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針第38項)。
したがって、取得原価は、以下の計算より1,000千円になります。
- 取得原価
=50千円×20株
=1,000千円
取得原価の配分
企業結合日における識別可能資産および負債への取得原価の配分額は、時価で算定します(企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針第53項)。
- 資産の時価=1,000千円
- 負債の時価=300千円
よって、受け入れた資産および引き受けた負債の純額(取得原価の配分額)は700千円になります。
- 受け入れた資産および引き受けた負債の純額
=1,000千円-300千円
=700千円

のれんの算定
取得原価1,000千円が、受け入れた資産および引き受けた負債の純額700千円を上回っているので、その超過額300千円はのれんとして資産計上します。
- のれん
=1,000千円-700千円
=300千円

企業結合日における取得企業甲社の会計処理
以上より、取得企業甲社の会計処理は以下のようになります。
