吸収合併消滅会社の最終事業年度の会計処理
吸収合併が取得とされた場合の吸収合併消滅会社の最終事業年度の財務諸表は、吸収合併消滅会社が継続すると仮定した場合の適正な帳簿価額によります(企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針第83項)。
合併による企業結合が取得とされた場合、吸収合併消滅会社は会計上も清算されたとみるため、吸収合併消滅会社の最終事業年度の財務諸表は、正味売却価額に基づくべきとする考え方があります。
しかし、吸収合併消滅会社の最終事業年度の財務諸表を正味売却価額で評価することは、実務における費用対効果が乏しいと考えられます。そのため、吸収合併消滅会社の最終事業年度の財務諸表は、吸収合併消滅会社が継続すると仮定した場合の適正な帳簿価額によるものとしています。
また、合併による逆取得または共同支配企業の形成の場合、吸収合併消滅会社は消滅するものの、会計上は持分が継続しているため、吸収合併消滅会社は、最終事業年度に資産および負債の適正な帳簿価額を算定し、その額が吸収合併存続会社に引き継がれることになると考えられます。そのため、これらの場合には、吸収合併消滅会社の最終事業年度の財務諸表は、適正な帳簿価額とするのが妥当と言えます(同適用指針第391項)。